今でこそ私は英語が楽しいと思っていますし、英語が得意だと自信を持って言えますが、実は高校時代は英語に苦手意識しかありませんでした。
その最大の理由は英単語暗記、単語を覚えられなかったからです。
小テストでは単語が書けず、長文を読んでも単語がわからず、わからないことだらけで英語の勉強に嫌気が差していました。
そんな私が「英語が得意になったかもしれない」「英語の勉強が楽しくなってきた」と思えるようになったのは、ある程度英単語を覚えてからです。
この記事では「英単語の覚え方、暗記のコツ」をご紹介します。
1. 英語を得意にするにはやっぱり「英単語」が重要
社会人になってから英語をやり直していた私は、ある時思い立ってアルクの「究極の英単語」(全4巻)を購入し、全部暗記しようと決意しました。
この「究極の英単語」には、日本人の英語学習者にとって有用であると思われる英単語がレベル1からレベル12までの各1,000語、合計で1万2000語(通称SVL12000)が掲載されています。
決して努力無しで覚えられたわけではありませんが、「究極の英単語Vol.2」(累計6,000語レベル)を学習している頃から徐々に効果が実感できるようになり始め、「究極の英単語Vol.3」(累計9,000語レベル)を終えた頃には英語が楽しくて仕方なくなってきました。
途中で「こんな英単語を覚えて本当に意味があるのだろうか」「自分にはそんなに英単語を覚えるのは無理なのではないか」という疑問がなかったと言えばウソになります。
しかし続けていくうちに、長文やリスニングの勉強をしていると「あ、これは究極の英単語で覚えた単語だ!」という経験を次々とするようになりました。
そうすると単語を覚える際のモチベーションも上がりますし、長文やリスニングでも分かる部分が増えていくので学習効率が高まっていきます。
英語学習の効率を上げたいのなら、そして楽しく英語学習をしたいのであれば、英単語を覚える習慣を身につけることが必要です。
2. 法則:英単語の定着度=回数×インパクト
今回の新型コロナウイルスの流行で「クラスター」「ソーシャルディスタンス」「テレワーク」といった言葉を初めて知った人も少なくないのではないでしょうか。
最初はこれらの言葉を聞いても何のことかサッパリだったのに、何度も耳にしているうちに普通に日常会話で使うようになっていませんか。
自分では使わないまでも、少なくともニュース等で聞いたときに一瞬で意味が理解できるようになっているはずです。
英単語を覚えるときも同様です。
英単語を覚えられるかどうかは単純に「触れた回数×インパクト」の掛け算です。
確実に覚えるには何度も聞く、何度も見る、何度も使う、これに勝る記憶法はありません。
英単語が覚えられないというのは、結局のところ触れた回数が足りないからです。
極端な話、1日1回英単語リストを見て単語と意味と例文を音読すれば、それだけで1年後には間違いなく全部覚えています。
英語の勉強をしていると、どうしても「この英単語、見覚えはあるのに全然意味が思い出せない!」という悩みと直面します。そうなったときに、殆どの人はどうしても勉強不足や能力不足だと感じてしまうでしょう。
私もそうでした。
「なんでこんなに一生懸命覚えたのに忘れてしまうのだろう」「何度やっても覚えられない。やっぱり英語に向いていないのではないか」と何度も思いました。
まずはこの考え方を捨てましょう。
「見覚えがあるのに分からない」という状況は勉強している人にしか起こりません。
試しに英検などで自分のレベルよりも上の級の語彙問題を眺めてみてください。(英検の過去問は公式ホームページで直近3回分をダウンロードすることができます)
英検1級の語彙問題を初めて見たとき、99%の人は「選択肢の中に意味がわかる英単語が1つもない。それどころか見覚えのある英単語すらない」と思うでしょう。
勉強していない英単語は見覚えすらないのです。
見覚えがあるのに意味がわからない単語がいっぱいあるという人は、英語の勉強に向いていない人ではありません。
それだけ英語を勉強した人なのです。
「ああ、見覚えのある英単語がたくさんある。よく勉強しているな、よく頑張っているな」と自分を褒めてあげてください。
3. 英単語暗記の効率を高める方法
とは言え何度も何度も覚えきれていない英単語を見るのも苦痛です。早く覚えるには印象に残りやすくなるように一工夫しましょう。
インパクトを高める方法の1つは、既に自分が持っている知識と結びつけることです。
たとえばcluster「(ブドウなどの)房、群れ」という単語は英検1級の単語集(旺文社パス単)に掲載されるほどの難単語なのですが、皆さんはもう一瞬で覚えられるのではないでしょうか。
そうです。先程例に挙げた新型コロナウイルスで有名になった「クラスター」がclusterなのです。
同じく英検1級パス単にはlevitateという単語がありますが、有名な家庭用ゲームのファイナルファンタジーシリーズをある程度遊んだことがある人ならすぐに理解できるでしょう。
このゲームではレビテトという空中浮遊できる魔法が出てきますが、levitateはそのまま「空中を浮遊する」という意味です。
これを単語学習に応用するためには、英単語学習と並行してその他の勉強をすることです。
たとえば1日に2時間英語の勉強をするとして、30分を英単語学習に、残りの1時間半を文法演習や読解、リスニング等のトレーニングに充てます。(時間配分はあくまで例なので、ご自身のライフスタイルや興味関心に合わせて自由に変えてください)
英単語とその他の勉強を組み合わせると毎日のように「あ!これ見たことある!」「この英単語聞いたことがある!」という瞬間が訪れます。
そうすると「ああ、英単語の勉強が役に立った」と実感できますので、英単語学習のモチベーションも高まりますし、当然知っている英単語が増えているので長文やリスニングの理解度も上がっていきます。
特に受験勉強や英検、TOEICの対策をしているときには同時並行をお勧めします。
英単語を完璧に覚えてから問題演習をしようとすると、いつまでも英単語の勉強が終わらなくて計画が狂ったり、問題演習中に「覚えたはずなのに忘れている」とフラストレーションが溜まったりしてしまいます。
単語は一度で覚えられなくて当然と割り切り、3周でも5周でも10周でもする覚悟で同時並行で勉強を進めれば、単語帳で覚えた英単語を問題で見る→問題で触れた英単語を単語帳で確認する→単語帳で見覚えのある英単語が更に増える、という好循環が生まれて効率よく記憶を深めることができます。
4. 英単語用のアプリを使う
繰り返しますが、英単語を覚えるために最も重要なのは繰り返すことです。そのためには毎日単語を確認する習慣をつけることが重要です。
アプリの最大の利点はその手軽さです。スマホさえあれば、その他に何も必要ありません。意味が載っている部分を隠す必要もありません。1分2分の隙間時間を活用することもできますし、1時間2時間と長く勉強することもできます。
発音も確認できます。
覚えていない単語を集中的に出題する機能もあります。そして「せっかく勉強しようと思ったのに単語集が手元にない!」というストレスや言い訳とも無縁です。
私は自作の問題を使いたかったのでSwipe Cardを使っていますが、入力の手間を省きたい場合は無料で単語データが登録されているアプリや、有料にはなりますが究極の英単語や英検パス単のデータを使用できるアプリ等がありますので、いちばん使い勝手がよいと思えるものが見つかるまで色々試してみてください。
「それでも単語帳で勉強したい」という人も、たとえば単語帳で本格的な英単語学習をして隙間時間はアプリを活用するというように併用してみてはいかがでしょうか。
5. PCで英単語暗記をする方法
余談ですが、私がやり直し英語を決意したとき、最初は従来型の単語帳を使いました。表面に英単語を書き、裏面に意味と例文をひたすら書きました。
結果はどうなったかというと、飽きました。
単語帳はたまっていく一方で、保管する場所もどんどんなくなっていきます。
一束やり終えても、忘れている単語がないか不安でまた最初からやり直すなんてこともよくありました。やっただけの効果はあったのでしょうが、続けたいとは思えませんでした。
そこで私が使用したのが「P-Study System」というパソコン用のフリーソフトです。
このソフトは無料でありながら非常に優秀な単語学習ツールで、以下のような特長があります。
・自作の問題集を作成することも可能。Excel等からのインポートも可。
・英単語カードモード、4択クイズモード、タイピングモードから好きなモードを選べる。英→日、日→英の切り替えも可。
・英英辞典(オックスフォード現代英英辞典、ロングマン現代英英辞典、COBILD)のDVD-ROMやCD-ROMから英単語の音声データを抽出できる。
・忘却曲線理論により、過去に学習した英単語が適切なタイミングで繰り返し登場する。
・問題演習中に語義や例文の編集ができる。1つ前に出題された単語の編集も可能。
・4択モードで、選択肢が表示されるまでの時間を自由に設定できる。
スマホ用アプリと比べて携帯性で劣ること、音声データを使用するのに別途英英辞典を必要とすること以外は、今でも最強の英単語学習ツールだと思います。
フリーソフトですので、集中的に英単語を覚えたいという人はぜひ試してみてください。
6. 英単語を効率よく覚える際のコツ
Step1. 英単語の情報を多く引き出す
英単語を覚えていくと難敵が出てきます。覚えたつもりなのにすぐ忘れてしまう、前にもやったはずなのに見覚えがない、そういう相性の悪い英単語がどうしても存在するのです。
そういう単語に対処するには、その英単語に関する情報を増やすことです。
皆さんは情報は少なければ少ないほど簡単に覚えられると思いこんでいませんか?
実は覚えやすくしたり、忘れにくくしたりするためには多くの情報を持っている方が効率がよいのです。
たとえば人の顔と名前を一致させるとき、卒業アルバムだけで何人覚えられるでしょうか。
すごく特徴的な人なら数人は記憶に残るかもしれませんが、全員を覚えるのは非常に困難でしょう。
ところが、10分でも会話したり一緒に活動したりすると、あっと言う間に相手の名前を覚えられるのではないでしょうか。顔と名前だけ覚えるよりも、声や喋り方、趣味や特技も一緒に覚えた方が記憶に残ります。
何かを覚えるときには情報は多ければ多いほど有利なのです。そしてこれは英単語を覚えるときでも同じです。
「なるべく少なく覚えよう」と考えるのは一見ラクをしているように見えて、すごく難しいことをやろうとしているのです。
Step2. フレーズで覚える
情報を増やす手段の1つはフレーズで覚えることです。
たとえば英検1級パス単ではwriggle「体をくねらせる」、guzzle「がぶがぶ飲む」という英単語が並んで出てきます。
これらを覚えるときに「wriggle体をくねらせる、wriggle体をくねらせる、wriggle体をくねらせる、guzzleがぶがぶ飲む、guzzleがぶがぶ飲む、guzzleがぶがぶ飲む…」と一生懸命に覚えても、翌日には「あれ?wriggleとguzzle、どっちがどっちだったかな…」となりませんか?
英単語と意味だけを覚えようとしても、時間がたつと繋がりが薄れて忘れてしまいます。
覚えるなら例文からフレーズを拝借して、
「guzzle his lemonadeレモネードをがぶがぶ飲む、guzzle his lemonadeレモネードをがぶがぶ飲む、guzzle his lemonadeレモネードをがぶがぶ飲む、
wriggle uncomfortably落ち着きなくもじもじする、wriggle uncomfortably落ち着きなくもじもじする、wriggle uncomfortably落ち着きなくもじもじする」
とおぼえてしまうのです。
guzzleを見たときにguzzle his lemonadeが出てくれば簡単に「飲む」を連想することができるでしょう。
英単語集の例文でピンと来ない場合は一部を別の英単語に変えるか、辞書やインターネットから別の表現を拝借しましょう。
Step3. 英単語の語呂合わせの使い方、探し方
意外と効果が高いのが語呂合わせです。全ての英単語を語呂合わせだけで覚えようとするのは流石に無理だと思いますが、一部の英単語ではピタッと語呂がはまります。
たとえば私が英検1級パス単のうち、語呂で覚えたものには以下の英単語があります。
inane(イネイン)→「そんな馬鹿げた奴はいねーんだよ」→「馬鹿げた」
arrears(アリアズ)→「ありゃ、ずっと滞納してた」→「滞納金」
impudent(インピュデント)→「インプ、でーん!と生意気な」→「生意気な」
(注)インプ…スバル・インプレッサという自動車。クルマ好きに人気が高い。
どうしても覚えにくい英単語に対しては、語呂がつくれないか考えてみてください。
上手い語呂を思いつかなくても、考えるという作業自体がインパクトを作る手段となります。自分で思いつかないときはインターネットで英単語の後ろに「語呂」を加えて検索してみましょう。
思わずクスっと笑ってしまうような語呂合わせと出会えるかもしれませんよ。
Step4. 紛らわしい英単語は並べる
意外と厄介なのが、知っている英単語と似ている英単語です。
こういう英単語はマイナスのインパクトを持っていて、先に覚えた英単語のイメージに引っ張られます。
一生懸命覚えても、次に見たときにはまた先に覚えた英単語の意味が思い浮かんでしまったり、「あれ?どっちがどっちだったかな」と混乱したりします。
これを克服するには、2つを合わせて覚えること、そして強引でもいいので区別の方法を作ることです。
たとえば、私が苦手だった単語にprosecute「起訴する」とpersecute「迫害する」があります。スペルも似ていますし、発音も似ているので本当に厄介です。
こういう混乱してしまうような英単語は2つを並べて違いに注目し、何とかこじつけてみましょう。
persecute→per「パー」→手を「パー」にして追い出す→「迫害する」
といった具合です。
それからheroine「ヒロイン、女主人公」とheroin「ヘロイン(麻薬)」、stationery「文房具」とstationary「静止した」の場合、違いはe「いい→良い」と覚えました。
「良い」人だからヒロイン、「良い」人は使わないのはヘロインです。
「良い」とか悪いとかいう好みがあるのが文房具、「良い」も悪いもないのが静止状態です。
collect「集める」とcorrect「修正する」、blink「瞬きする、点滅する」とbrink「がけっぷち、瀬戸際」、splint「とげ」とsprint「全速力で走る」のようなlとrも厄介ですね。
私は未だにlとrに弱いです。
こういう場合はどちらか片方だけでも、lとrを連想させるものを見つけます。
たとえばcorrectのrはright「正しい」のr→正しくなるように「修正する」、blinkのlはlight「光」のl→光が眩しいから「瞬きをする」といった具合です。
splintとsprintに至っては、「splintのlはトゲの形!」と覚えています。
Step5. 語源の活用方法
英単語を思い出す際のトリガーの1つとして語源も効果的です。
たとえばgreg「群れ」を覚えるとaggregate「集計」、congregate「集まる」、gregarious「社交的な」、segregate「隔離する」といった英単語を見たときに、「群れ=集まる」に関係する英単語だとわかれば、あとは文脈から意味を判断することができます。
avert「避ける、回避する」、divert「(方向)転換する、かわす」、invert「逆さにする」、revert「立ち戻る」などは、vertの部分が「向きを変える」という意味であることを理解すると、同じグループであると納得しやすいですね。
このように語源を覚えると、英単語の意味がある程度推測できるようになります。
ただし「語源を覚えれば未知の英単語もわかる」というのは誇大広告かなと思います。
確かに語源から推測できる英単語も多いのですが、納得できないものもたくさんあります。
たとえばvokeは語源的には「呼ぶ」という意味なのですが、provokeはpro「前に」+voke「呼ぶ」で「挑発する」になります。「侮蔑的な言葉を投げかけて自分の前に呼ぶ」ということらしいのですが、結局「挑発する」という部分は別に覚える必要があります。
invokeはin「中に」+voke「呼ぶ」で「加護を祈る」という意味だそうです。これも「神様を自分の中に呼ぶ」ということだそうですが、「神様」を別に連想しなければいけない時点で私には語源のありがたみがあまり感じられません。
語源は人によってはとても興味深い世界だと思います。
ただし向き不向きがありますので、「よくわからない」と感じたらあまり深入りしないほうがよいと思います。
私は「とりあえずインターネットで調べてみて、納得しやすい説明が見つかればラッキー!」くらいの感覚で活用しています。
Step6. 最も簡単!英単語にイメージをつける
最後に、最も簡単にインパクトをつけるための方法を紹介します。
それは単語にイメージをつけておくことです。
たとえばglib「口達者な、口先だけの」という単語を覚えるときには、あなたの周りの口達者な人を思い浮かべてみましょう。
My sister is a glib girl.なんて例文を作るとなお良いです。
するとglibを見るとあなたの妹さんの顔が思い浮かんで、「ああ!glibは口達者だ!」と思い出すことができます。
その単語に合う人を探して、紐づけてください。
表情をつくったりジェスチャーをつけたりするのも効果的です。
sullen「むっつりした、不機嫌な」を覚えたければ、sullenを発音したあとで不機嫌な顔をしてみてください。そうするとsullenを見ると、「あ、不機嫌な顔でsullenと言ったな」と思い出すことができます。
infraction「違反」が覚えられなかったら、infractionと発音したあとに手をバツにしてみてください。infraction→ダメ出し→違反と連想できるようになるはずです。
この方法は本やインターネットを使う必要がないので本当に手軽ですし、アプリ学習との相性も抜群です。
英単語の覚え方のまとめ
今回は私の経験から英単語学習についてお話させてもらいました。
繰り返しますと単語を効率よく覚える際のコツは
2. 英単語はフレーズで覚える(連想できるように)
3. 語呂合わせを使う(どうしてもわからない単語へ)
4. 紛らわしい英単語は並べる(違いを見つける)
5. 語源は暗記のヒントとして活用しよう(無理やり適応はさせない)
6. 英単語にイメージをくっつける(その単語っぽい人を探す、体で表現するなど)
こういった事を意識して取り組んで頂ければ、だいぶ楽に英単語を暗記できるはずです。
単語学習が苦にならなくなった時点から、英語の世界は果てしなく広がっていきます。一人でも多くの皆さんが単語の苦手意識から解放されて、英語の楽しさを感じてもらえることを願っています。