中級レベルのビジネス英語力を身につけたい社会人が最初に取り組むべき英語学習、それは英文法です。
社会人になって今更英文法?
この記事では「英作文、発音、ビジネス表現」など様々な英語学習の項目がある中、なぜ英文法を学ぶ必要があるのか、をご紹介していきます。
なぜビジネス英語に英文法が必要なのか?
何事も基礎が重要です。基礎工事を怠ればどれだけ堅牢な建物も簡単に崩れ去ってしまうように、英語でも基礎を怠ればその後の英語の伸びはあまり期待できません。
ここでの英語の基礎とは「英文法」を指します。英語を習いたての中学校や高校では英文法ばかり教わりますが、英文法の重要性を教えてくれる人はあまり多くありません。
大人になり、ビジネス英語が必要とされる場面ではビジネス英会話や表現を身に着けることを薦められますが、そのような付け焼刃のような方法でグローバルな社会で通用しません。
日本語に置き換えてみましょう。私たちは日本語を母語としており、生活の中で何気なく使っていますが、その原点にあるのは親や先生から教わった日本語の基礎があるからです。
表面的に覚えただけの言葉を状況に合わせて言っているだけではなく、日本語の文法を理解したうえでそれを応用して自分の言葉にします。
外国語である英語でも同様です。英文法というルールに則って、その中で自身を表現する必要があります。ですので、ビジネス英語だけ、単語だけができればよいという話ではないのです。
最初の例で例えるならば、英文法の理解なくビジネス英会話に励むことは、緩い土壌の上に一生懸命かたい建物を建てようとしているようなものです。
一度基礎がゆるんでしまえば、建物丸ごと思わぬ方向に傾いてしまいます。表面的な英語を覚えるだけでは応用ができないため、自己表現といった、覚えた定型文以外の表現ができなくなってしまいます。
学生のころ英文法を重点的に教わったのは、そこに英語の本質があるからです。英語の基礎となる部分を理解することによって、その後大きく応用することができるようになります。
そのような理由からビジネス英語を勉強するうえで英文法は非常に重要で、優先的に勉強するべき事項となります。英文法は中学校から習い始めた人も多いと思います。
中学校の復習から始めることは非常に遠回りのようにも思えますが、実は一番の確実で目標達成への近道です。今一度英文法の再確認をしてみましょう。
英文法はどんな事を習えばいいのか?
では一体どのような内容を勉強していけばいいのでしょうか。
英文法に関する参考書は無数に出版されていますが、多くの参考書を手に取る必要はありません。英文法というルールは既に決まっているからです。書かれている内容自体は全て同じですので、複数の参考書を見るのではなく一冊をマスターすることを心がけましょう。
初級者向けで有名な参考書として「FOREST」が挙げられますが、その中には全24項目の文法が記載されています。
例えば、「動詞と文型」から始まり、「不定詞」や「関係詞」などがあります。世界的に有名な参考書である「Grammar in use」では16項目の文法が記載されています。
これらの数字が異なるのは文法を異なった角度で区切っているからであり、勉強する英語の内容は変わりません。約20項目ある英文法ですが、一見多いように見えてしまいます。
しかし考え方を変えれば、英文法、つまり英語の基礎はこれ以上ありません。英語は言語的に非常に簡単な部類に入ると言われていますので、本気で学習に取り組めば基礎は簡単にマスターすることができます。
また、英文法は全てマスターすることが前提ですので、英文法の各項目に優劣はありません。以下に学習するべき内容をリストアップしますので見ていきましょう。
■ 品詞(名詞・冠詞・形容詞・副詞 etc…)
■ 動詞(Be動詞・一般動詞)
■ 疑問詞と疑問文 (5W1H・一般動詞とBe動詞の疑問文)
■ 否定 (一般動詞とBe動詞の否定形・各時制の否定形)
■ 助動詞 (can, may,must etc… )
■ 過去形 (規則動詞・不規則動詞)
■ 未来形 (will, be going to etc…)
■ 完了形 (have done)
■ 受動態 (be done)
■ 不定詞 (To不定詞・原形不定詞)
■ 動名詞 (~ing)
■ 接続詞 (when, while, as etc…)
■ 分詞 (現在分詞・過去分詞)
■ 比較 (比較級・最上級・同等比較)
■ 関係詞 (関係代名詞・関係副詞)
■ 仮定法 (仮定法現在・仮定法過去)
■ 話法 (直接話法・間接話法)
■ 名詞構文(~’s, of)
■ 無生物主語 (原因や理由・条件や手段・時や場所 etc…)
■ 強調・倒置(it is ~that 構文 etc…)
■ 挿入(in fact, as it were, etc…)
■ 省略構文(命令形・補語の省略・仮定法主節の省略 etc…)
各項目にさらに単元はあるものの、基本的に学習するべきなのはこれだけです。これらをマスターしていないと英会話に発展させることはできませんので、是非丁寧に一つずつマスターしていきましょう。
どのように英文法をマスターすればいいのか?
では、次にどのように文法をマスターすれば良いのでしょうか。多種多様な方法がありますが、今回は以下のような方法をオススメします。
独学
ビジネスマンのように大人になると、英文法自体を教えてくれるスクールや塾などは非常に限られてきます。英文法は人から教わるのではなく、自身で身に着けていくことが一番現実的な方法といえます。
方法としては、「Forest」や「Grammar in use」といった有名な本を一冊用意し、それを一つずつ着実に身に着けていくことが近道といえます。
問題集はレベルに応じて数冊用意し、間違った問題を理解できるまで深堀していきます。重要なのは問題の正答数ではなく、なぜそれが正しい答えなのかを説明できるようになることです。
独学はスクールに通うよりコストやハードルが断然低いですので、まずは独学から始めることをオススメします。このように自身の力で英文法を学ぶことを通して、独学する力やタイムマネジメントの力などを養うこともできます。
精読
ある程度英文法が身についてきたら精読をすることをオススメします。精読とは一つの文章を丁寧に読んでいき、文の構造や文法用法の理解を深めることを指します。一見簡単な文章でも文法的になぜそれが正しいのかを説明すると一気に難易度が上がります。
精読を通し、例えば品詞の役割の違いを再確認したり、どの単語がどの範囲を形容しているのかなどが分かるようになります。独学で学んだ英文法を実際の文章で再確認する作業を行います。
TOEIC対策(part5・6)
上記で問題集を数冊と述べましたが、一例としてTOEICのPart5と6が挙げられます。その中には語彙力の問題も含まれますが、多くが文法問題です。品詞を理解しているだけで簡単に答えられる問題もありますので、自身の理解度を確認するのにはちょうどよい問題となります。
さらにTOEICはビジネスシーンを想定していますので、ビジネスマンの多くにとって良問といえる問題が多くそろっています。
英作文
実際に英作文をしてみるのも英文法を理解することにおいて非常に重要です。英文法そのものを学ぶことをインプットとするならば、英作文をすることはアウトプットにあたります。ここでの目標は「読めるけれど書けない」英語を明確にすることです。
読める英語は必ずしも書ける英語とは限りません。インプットのみをしても実際に書くことは意外と難しいのです。ここでの目標は「書けない」英語を明確にすることによって再度学習するべき内容を浮彫りにすることです。方法は英作文の参考書を一冊程度やってみることで、模範解答と自身の解答とを比較することで問題点が明確になります。
英語学習アプリ
通勤時などの隙間時間にはスマホやタブレットを使用した学習アプリで勉強をすることをオススメします。今ではアプリ開発が進んでおり、多数の英語学習アプリが配信されています。自身の趣向に合ったものを一つや二つピックアップしてみましょう。
特にオススメなのは一問一答式の英文法アプリです。短時間で効率よく英文法が学べ、モチベーションも維持することができます。また、最近のアプリはUIもきれいに整っていますので、勉強しやすい環境といえます。
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英会話
オンライン英会話などを活用して英文法を学ぶのも非常に良い方法といえます。英作文同様、話すことはアウトプットにあたりますので、自身の苦手とする分野を明確にし復習するべき内容を明確にすることができます。
英会話のメリットは、その明確になった問題点をその場で講師が教えてくれるということです。家に帰って復習する手間が省けますので、非常に効率よく学べます。
一方、注意点としては英会話はあくまで英会話の場所となりますので、文法だけを教えてくれる場所ではありません。ですので、英会話だけで英文法をマスターすることは難しいので、あくまで独学と並行した補足として考えましょう。
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英文法を習う際の注意点
英文法を習う際にあたり注意点がいくつかありますので、もれなく見ていきましょう。
知ると使いこなせるは違う
英文法においてもインプットとアウトプットがあります。上記の通り、理解できる英語が必ずしも書ける・話せる英語ではありません。あくまでも最終目的は自由にアウトプットできるようになることです。
インプットだけでは英語は使いこなせるようになりません。このインプットとアウトプットをバランスをよく学ぶことを意識しましょう。
正答することに注力してしまう
問題集で実践することはあくまでも自身の課題を明確にすることが目的です。正答することだけに注力してしまわないように注意しましょう。もちろん正答率を上げることは非常に重要ですが、さらに重要なのは、なぜ選択肢Aが正答で、その他の選択肢が誤答なのかを説明できるようになることです。正答率に目を向けるのではなく、是非問題集の解説に目を向けましょう。
他人から全てを教わろうとする
ビジネス全般に言えることですが、問題解決能力・自己分析・独学力などは非常に大事な能力です。まずは自身で問題を明確にし、その問題をどう解決するのかを優先的に考えるべきです。その上で必要ならばスクールに通うといった選択をするべきですので、初めから全てを教えてもらことを期待しないようにましょう。
英文法の達成ゴール
最後に英文法の達成ゴールを参考までに挙げてみます。
レベル1:高校卒業レベルを理解する
高校卒業レベルとはつまり全ての英文法にあたりますが、英文法を学ぶことにおいてこれが最低限の目標となります。分からない英語をなくす作業がまず第一の目標になりますが、この時点では理解できる程度で構いません。
つまり、実際に書ける・話せるといったことはできる必要はありません。あくまでも分からない文法を徹底的になくすことがこの段階での目標になります。
レベル2:高度な文法を駆使して書ける・話せるようになる
次のステップは実際に学んだ英文法を使って書ける・話せるようになることです。この段階では高度な英文法を駆使して自己表現できるようになることを目指します。ここでの高度な文法とは高校で学ぶような、例えば「仮定法過去」「未来完了形」「分詞構文」「無生物主語」などがそれにあたります。
レベル3:全ての英文法を駆使できるようになる
最終的には文法的な要因でコミュニケーションができないといったことがない状態を作ります。この段階では流暢に話せる必要はありませんが、自身が表現したいこと全てを英語で表現できるようになることを目指します。対象の学習範囲はすべての英文法のインプットとアウトプットです。
以上のステップを踏んでやっとビジネス英会話が成り立ちますので、是非英文法の学習は怠らないようにしましょう。