私はこの秋からロサンゼルスに留学中の社会人留学生です。私は既に日本でいくつかの大学や大学院を卒業しているため、今回は、その学歴や成績をアメリカの学校でも同等に評価してもらう方法「Evaluation」についてご紹介します。
最初にお伝えするべきことは「ものすごい時間がかかる」ということです。申請してから、少なくとも2ヶ月以上はかかるため、必要な場合は早々に手続きを始めることをおすすめします。私の場合、留学してすぐにアカデミックカウンセラーにすすめられて成績評価専門の機関に申請をしましたが、まだ評価は完了していません。既に2ヶ月以上経っている状態です。
アメリカの学位と成績
さて、日本の学位は「博士」・「修士」・「学士」・「短期大学士」と「専門職学位」に分かれると思いますが、アメリカの学位にはまず、Certificateもしくは Diploma(認定証のようなもの)と、Associate’s Degree(短期大学士または準学士のようなもの)、Bachelor’s Degree(学士)があります。
学士には、Bachelor of Arts:B.A.(文系)、Bachelor of Science:B.S.(理系)、Bachelor of Fine Arts:B.F.A.(芸術系)および、Second Bachelor’s Degree:2BA(第2学士:学士号を取得した人が他分野でもうひとつの学士を取得した場合)があります。大学院ではMaster’s Degree(修士号)と、Doctor’s Degree(博士号)が取得できます。
また、アメリカの成績評価は「GPA(Great Point Average)」で表されます。成績表はA・B・C・D・Fの5段階評価で記され、日本のS・A・B・C・Dなどの5段階評価や10段階評価などと大体同じ形ですが、その成績表に記されているスコアを、GPA規定の「数字」に置き換えて「全体の平均を算出」したものがGPAです。
GPAスコアは0.0〜4.0の範囲で記されることが一般的ですが、科目の難易度によっては0.0〜5.0で評価される場合もあるようです。多くの場合、進級や卒業の基準を満たしているかを判定するために使われます。GPAの評価基準は、学区や州によって違うそうなので、ご自身が希望する地域のGPA評価を参照されることをおすすめします。
私の学校の要項には、Aが4ポイント、Bは3ポイント、Cが2ポイントで、Dは1ポイント、Fが0ポイントと記載されていて、GPA(全教科の平均)を最低2.0ポイント以上にキープすることが留学生ビザを維持する上での必須条件のひとつとなっています。
Evaluationを希望する理由
私が日本の成績をアメリカバージョンに評価し直したい理由は、できる限り短い期間と低コストで、アメリカの何かしらの認定証や学位、資格を取得し、就職に活かしたいと考えているからです。
現時点での私の状況は「無駄に」学位や単位をたくさん持っているという状況です。日本でいくら多くの単位を良い成績で収め、いくつもの学位を取得していたとしても、アメリカの基準で再評価してもらわないことには、ほとんど何の役にも立たない状況です。
例えば、アメリカの学士号を取得するためには、一般教養科目から必須の単位を取得する必要があります。これは、日本の大学で一・二年生が必須で受講するような基礎科目のことですが、日本の大学で取得した一般教養の単位を、アメリカの評価機関で認めてもらえれば、アメリカの大学ではその科目の履修を免除して先に進むことができます。
同じように、大学院などで取得した専門課程の科目も、アメリカの単位として認めてもらうことができれば、どこかの大学院に入り直して、もう一度同じ科目をわざわざ受講し直さなくても、認定証や学位、資格取得に最短で辿り着くことが可能になります。
「最短」ということは、少ない授業料で済むという意味でもあり、大学院の入学金や各種学費を払わなくても済む可能性もあるかもしれません。物価の高いアメリカで、労働が許可されていない社会人留学生の私にとっては最良の方法だと考えました。
機関選び
私が現在申請中の成績評価機関は、Academic Credentials Evaluation Institute, Inc. 1(ACEI)という機関なのですが、アカデミックカウンセラーから他にも数社を勧めてもらった中から、こちらの機関を選びました。(ちなみに「アカデミックカウンセラー」とは、各学生がそれぞれの目標に向かってどのコースを選びどの科目を履修したら良いかなど、個別相談にのってくれる専門スタッフのことです。私の卒業した日本の大学や大学院では、あまり馴染みのない職種で、学生課の職員の方が兼任していていたように記憶しています。アメリカには他にも「キャリアカウンセラー」という、就職に関する相談にのってもらえる専門スタッフがいます。こちらは私が卒業した日本の大学で「就職支援課」と呼ばれていたものと同じような部署だと思います。)
私がACEIを選んだ理由は、「カード決済が可能」だったからです。他の機関の方が全体のコストが抑えられたのですが、支払い方法が「小切手のみ」でした。留学したばかりの私は、アメリカの銀行アカウントを持っていない状態で、小切手はハードルが高すぎて諦めました。
大学と大学院の卒業証明書と成績証明書の評価、及び他の大学と大学院での成績証明書の評価を申請し、合計で550ドルを支払いました。
申請手続き
申請方法は、機関指定のフォーマットに指定の方法で記入し、指定の方法で資料を添付するのですが、その「指定の方法」に大変苦戦しました。
私は、日本で卒業した大学や大学院の英文卒業証明書や成績証明書の原本をアメリカに持参してきており、「厳封」(本人が自分に都合が良く編集できないように封をされたもの)も用意していました。ただし、この機関ではPDFデータしか受取不可で、持参した書類は全て使い物になりませんでした。そのため、単位取得した4つの大学や大学院にそれぞれ国際電話をして事情を説明し、学校から直接、先方にEメールで私の書類を送信してもらわなくてはなりませんでした。
ところで、日本の大学や大学院の卒業生が成績証明書などの発行を依頼する際には、「切手(英文証明書一枚300円)」で発行手数料の支払いを求められることが多いのですが、アメリカに居る状態では「300円分の日本切手」を学校に送ることができません。結局、私は日本に居る友人に頼み込み、切手と封筒を購入してもらい、84円の送料も立て替えてもらって申請する、というアナログな方法を取ることにしました。無事に4つの日本の学校に切手が到着してから、それぞれの学校から直接ACEIに卒業証明書と成績証明書のPDFデータを送ってもらい、受理されるまでに1ヶ月近くの時間がかかりました。
また、身分証明書などは自分でメール送信して良いのですが、「コピー機を使用したスキャンデータPDF」のみ受取可能で、携帯電話のカメラ機能を使用して撮影したデータをPDFに変換したものは認めてもらえませんでした。レンタルしている家にコピー機はなく、私の学校の図書館やパソコンルームのどこに行っても、紙媒体からPDFデータにスキャンできるコピー機はありませんでした。結局、FedEx Officeという、日本でいうキンコーズのような印刷サービス会社を使用して身分証を提出することになりました。
また、女性の社会人留学生の多くが苦戦することだと思うのですが、学生時代と姓が違う場合がとてもややこしくなります。学校の卒業証明書や成績証明書には、当時の名前のみ記載されているので、その姓が自分であることを証明できる書類も提出しなくてはなりません。
私の場合は、ビザの申請を自分で行なった際に戸籍謄本を自分で英訳し、公証人役場で1万1千円を支払って公式な書類として認定してもらいました。運良く、その書類をたまたまアメリカに持参してきたのですが、これが無いと、またアメリカの英訳機関に依頼をして、自分の姓が変わったことを英語で証明してもらうためにお金を払う羽目になっていたところでした。
姓が変わった、変わる可能性がある方は、必ず自分の旧姓を証明できるものを英文に訳して、公式な書類として認定してもらってから日本を出国されることを強くおすすめします。
まとめ
今回は、日本の成績をアメリカで評価してもらう方法について一部ご紹介しました。まだ評価の手続き中で結果が分からない状況ですが、少しでも日本で取得した単位がアメリカに移行できることを願って、首を長くして待とうと思います。
ちなみに、現在進行中の評価はあくまで私の成績がどのレベルかという評価です。この評価が完了したら今度は、自分の学校の担当部署の人が、学校のどの科目の単位として認定できるかを評価します。この際には、日本で取得した各科目の授業内容を記したシラバスが必要になります。
日本語のシラバスを英訳して提出し、評価してもらうのですが、私は今までに100科目以上の教科で単位を取得してきました。100科目以上のシラバスを英訳する作業は気が遠くなりますが、アメリカの大学院に入り直した際にかかる時間とお金を天秤にかけて、自分で出来ることを全部やってみるつもりなので、また別の機会にご紹介できればと思っています。