就活対策のイメージが強いTOEICスコアですが、社会人になってからも重要な意味を持ちます。
グローバル化が進む中、英語力を求める企業は年々増えているからです。多くの企業が、社員の英語力の指標としてTOEICスコアを重視しています。
「社会人のTOEIC平均点・目標点が知りたい」「社会人としてTOEICを受けるメリットが気になる」
この記事は、そんなビジネスパーソンの疑問に回答する内容です。
キャリアアップや転職、収入にTOEICスコアがどんな形で影響を及ぼすのか、具体例を交えて解説します。
忙しい社会人生活ですが、英語力を磨き続けるとメリットがいっぱい!自分に必要なTOEICスコアや受験のメリットを確認して、英語学習の目標設定に役立ててください。
社会人のTOEIC平均点・目標点は?
社会人のTOEIC平均点は612点
社会人のTOEIC平均点は612点です(2019年度)。受験者全体の平均点が588点なので、平均を少し上回るスコアです。
業界別に見てみると、「鉱業」「マスメディア」「公共団体」はいずれも600点超え。
「商社」や「証券・保険」、「不動産」も500点台後半です。また、より高いレベルで英語力を必要とする業界では、TOEIC平均点も高くなる傾向にあるようです。
一方、新入社員のTOEIC平均点は488点。社会人全体の平均点より100点以上低い結果です。社会人が入社後も継続的な英語学習をして、TOEICスコアを伸ばしている様子が伺えます。
実際にこの調査では、39.9%の社会人が「普段から英語を学習している」と回答。1週間の平均学習時間は、3時間42分でした。多くのビジネスパーソンが英語の必要性を感じ、継続的な英語学習に取り組んでいます。
企業が社員に求めるTOEICスコアは570点前後
企業が海外部門以外の社員に求めるTOEICスコアは、570点前後です。企業の期待するスコアを部門別に見てみましょう。
・技術部門 560点
・営業部門 575点
・海外部門 690点
海外部門では700点近く取る必要がありますが、それ以外の部門では570点が目安になります。
さらに目標とする英語スキルとして、「英語で行われる会議で議論できる」と答えた企業が19.9%で最多でした。実際のビジネス現場で使える英語力を求めていることがわかります。
また、現在海外との取引きがある部署だけで英語を使用している企業も、数年以内に他部署でも英語が必要になる見通しを示しています。
英語の現在の使用状況に関するアンケートでは「英語は海外との取引きがある部署だけで使われる」が61.0%でした。
しかし、同じ質問で3年後の見通しを尋ねると、38.8%に減少。今後、多くの企業で英語を必要とする部署が増えると予想されます。
社会人のTOEIC目標点は600点
一般企業に勤める社会人のTOEIC目標点の目安は、600点程度です。企業が海外部門以外の社員に期待するスコアが500点台後半なので、600点を取っておくとボーダーラインは超えると考えられます。
また、企業が新入社員に求めるスコアが535点であり、多くの大学生も500点以上を獲得しています。就活でアピールできるスコアが600点とも言われていますので、先輩社員としては600点以上を取っておきたいところです。
海外部門などの日常業務に英語を使う部署を希望する場合、企業が期待する690点をクリアする必要があります。TOEICはビジネスシーンを想定したテストなので、勉強することで業務に使える単語やフレーズなどを学ぶこともできます。
社会人がTOEICを受ける3つのメリット
社会人がTOEICを受けるメリットには、キャリアアップ、転職しやすい、収入アップの3つがあります。
グローバル化が進み、海外との取引きをする企業が増加。社員の英語力に対する注目度が高まり、TOEICスコアの存在感は今後も大きくなると予想されます。
メリット1:キャリアアップ
昇進・昇格
採用時だけでなく、昇進・昇格時にTOEICスコアを参考にする企業が増えています。
スコア提出を必須要件として重要視している企業も。例えば課長への昇進だと、32%の企業がTOEICスコアを要件または参考にしていると回答しています。
役職別の昇進・昇格時に期待するTOEICスコアの平均は、下記の通りです。
・係長・主任 515点
・課長 530点
・部長 565点
・役員 600点
役職が上がるにつれ、期待されるスコアも高くなるという結果に。
社会人全体の平均点が612点なので、取り立てて高いスコアとは言えません。ただこうした企業では、一定の英語力を持っていることがキャリアアップの条件となっていると言えます。
海外出張・海外赴任
キャリアアップの上で、経験すると有利になる海外出張や海外赴任。そんな場面でも、英語力は人選の判断材料になっています。
海外出張者を選抜する際、TOEICスコアを要件・参考としている企業は38.6%。海外赴任者にいたっては50%にのぼります。
期待するTOEIC平均スコアは下記の通り。
・海外出張者 620点
・海外赴任者 635点
海外出張や海外赴任を希望する場合は、最低でも600点はクリアしなければならないことがわかります。希望者にとって、英語学習とTOEIC受験は必須と言えるでしょう。
メリット2:転職で有利になる
なぜ転職でTOEICスコアが役立つのか?
転職でTOEICスコアが役立つ最も大きな理由は、多くの企業が英語力を持った即戦力を求めているという事実にあります。
英語を使用する部署の中途採用の場合、TOEICスコアを要件・参考としている企業は53.8%。過半数の企業が、応募者のTOEICスコアに注目しています。
期待するスコアは平均620点。新卒採用時の545点と比べると高いスコアです。中途採用者に、即戦力としての働きを求めていることがわかります。
また、今後のビジネスパーソンにとって重要な知識として、82.6%の企業が「英語」と回答。さらに社員に不足している知識も英語がトップで、67.0%でした。
在籍する社員に英語力を求めながらも、現在は実力が不足している様子。企業が要求するTOEICスコアを提示できれば、人材価値をアピールできます。
転職時に求められるTOEICスコア一覧
中途採用時に、一定以上のTOEICスコアを推奨する企業の例です。スコアを必須項目にはせず、応募者に期待する英語力の目安として記載している企業が多いようです。
株式会社野村総合研究所
ビットクルー株式会社
・ 800点
楽天銀行株式会社
ディー・エム・シー株式会社
・650点
レイヤードジャパン株式会社
・600点
株式会社本田技研研究所
レノボ・ジャパン合同会社
三菱電機株式会社
メリット3:収入アップ
TOEICスコアと年収の相関関係
TOEICスコアを伸ばすと、年収が増えるかもしれません。転職エージェントdodaが行った調査によると、TOEIC700点以上のスコア層と年収との相関性が明らかになりました。
スコア層が高くなるほど、年収も上がるという傾向が見られたのです。また、TOEIC未受験者の年収が全体の年収を大きく下回っていることもわかりました。
もちろんこれは1つの調査結果にすぎず、TOEIC高得点=高年収という単純なものではありません。
しかし、少なくともうっすらとした相関関係は感じられる結果です。
TOEICスコアは、海外出張・赴任や昇進・昇格、転職などキャリアライフのターニングポイントで役立ちます。それにともなって年収が上がるというのは、自然な流れと言えます。
英語力と年収の関係性については、こちらの記事で詳しく説明しています。
→統計でわかる年収1000万円稼ぐ人たちの本当の英語力【英語力×年収の関係性#01】
→統計でわかる年収1000万円稼ぐために必要な英語勉強法【英語力×年収の関係性#02】
TOEIC報奨金
企業のTOEIC報奨金とは、決められた点数以上を獲得できた社員に対して支払われる一時金のことです。英語学習のモチベーションアップを狙って、一部の企業に設けられています。
2013年、グローバル企業であるソフトバンクがTOEIC900点以上を取った社員に100万円、800点以上で30万円の報奨金を与えると発表して話題になりました。
ここまで高額な報奨金が出ることはまれですが、数万円〜数十万円程度が用意されている企業は多くあります。
例えば800点で3万円、900点で10万円などに設定されています。
「報奨金を支給している」と答えた企業は27.5%。4分の1以上の企業が、報奨金を支払っています。
また5.9%の企業は、資格手当として数千円〜数万円を付与。一定のスコアを取ると、毎月給与に資格手当がプラスされる仕組みです。
TOEIC報奨金と資格手当の存在は、社員の英語学習に対する企業側の本気度を示しています。
まとめ
今多くの企業が、英語力を持つ人材を求めています。社内の英語力不足を危惧して、TOEIC報奨金を与えるほど。そしてその流れは今後、より強くなることが予想されます。
多くの企業がTOEICスコアを重視しています。TOEICスコアは、具体的な数字で英語力をアピールするツールとしても有能です。
昔と違い、転職を視野に入れたキャリアアップが当たり前になった現代。自己のスキルアップも必須と言えます。継続した英語学習で、理想のキャリアプランを叶えてください。
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