「仕事で英語を使うから英語を学ばなきゃ」という人、「将来的には英語で仕事ができるようになりたい」という人は多いと思います。
では、仕事に通用する英語はどうやって勉強したらよいのでしょうか。
ビジネス英語のフレーズ集を購入しますか?
TOEICの試験勉強をしますか?
オンライン英会話のビジネス会話コースを受講しますか?
どれも間違いではありませんが、目的もなく知識を詰め込んでもそれを活かすのは困難です。まずはビジネス英語を学ばなければならない理由を理解し、目標を明確にして勉強を勧めることが重要です。
英語のビジネス表現を学ばなければいけない5つの理由
理由1:相手に失礼な印象を与えないため
ビジネス英語を学ぶ理由の1つ目は「相手に失礼な印象を与えない表現を使えるようにするため」です。
あなたが初めての営業先に行って他社の社員と話したとします。そんなときに開口一番で次にように言われたらどう思いますか。
「よく来たな。まあ座れ。で、あんた誰?」
おそらくここの会社とは縁がなかったと思うのではないでしょうか。あなたに決定権があれば絶対に取引しないでしょう(それでも涙を飲んで売り込みをかけなければならない場合もあるかもしれませんが)。
あなたが英語で話すときも、失礼な印象を与えない表現を使うべきなのです。
では、相手に座るように英語で勧めるとき、あなたならどう言いますか?
「Sit down」が頭に浮かんだ人はいるかもしれませんが、残念ながらこれは失礼な表現の1つにあたります。
Sit down.は親や先生が子供に座るように指示するようなときに使う表現なのです。pleaseをつけてもダメですよ。子供扱いとか上から目線というイメージのある表現ですから。
大人同士が相手に敬意を払って座るように勧めるときは、Have a seat.を使います。もちろんpleaseをつけるとより丁寧です。
Sit down.は「座りなさい」、Have a seat.は「掛けてください」という感じですね。
同様にWho are you?は「あんた誰?」というニュアンスになりますので、May I have your name, please?「お名前を伺ってもいいですか」を使いたいところです。
ほかにも「いつご都合がよろしいでしょうか」というときに、When are you free?と言ってしまうと「いつ暇なの?」となってしまい、失礼な印象を与えてしまいます。
真面目に働いている人であれば、仕事中に暇な時間はないはずですから。こういうときにはWhen are you available?を使います。
このように、知っている単語や思いついた単語で文章を作ると、思いがけず相手に不快な思いをさせてしまうことがあります。それを防ぐためにも、いわゆるビジネス英語と呼ばれる定型文を覚えるのは効果的なのです。
理由2:誤解を与えない表現が必要だから
ビジネス英語のもう1つの目的は、「相手に誤解を与えない表現を使えるようにするため」です。
これは日本語でも同じですが、曖昧な表現はビジネスには向きません。「何となく意味が通じる」というレベルでは様々な問題が生じてしまいます。
例えば打ち合わせの日時について話すときに「では、今度の木曜日の午後3時に御社に伺います」と伝えるとします。
ここで、
「I’m going to go to your office at p.m. three next Thursday.」
と言ってしまうと様々な混乱が生じます。
next Thursdayの欠点
細かい点はいくつかあるのですが、最大の問題点は「next Thursday」です。
next Thursdayは学校では「次の木曜日に」という意味で教わりますが、多くの場合は「来週の木曜日に」という意味で受け取られます。
つまり今度の木曜日に訪問すると「来るのは来週って言ったじゃないか!」と怒られてしまう可能性があるのです。(厄介なことにネイティブでも今度の木曜日か来週の木曜日か混乱することがあるそうです。)
誤解を招かないように、
「今週の木曜日に」という意味であれば、「this Thursday」 や 「on Thursday this week」
「次にやってくる木曜日に」であれば「on coming Thursday」
「来週の木曜日に」であれば「on Thursday next week」
を使うようにした方が安全です。
go to your…の誤解
ついでに細かい点についても説明しておきましょう。
まずgo to your officeですが、これは現在地から出発することを指します。この文の場合なら「3時に当社を出ます」と伝えていることになってしまいます。
相手の会社に到着するのが3時なので、get to your officeとした方がよいでしょう。
時刻のAM,PMをつける場合
次にp.m. threeですが、これはいわゆる和製英語です。
a.m.やp.m.は時刻の後ろにつけますので、three p.m.と言わなければなりません。
I’m going toは以前から決めてた予定の場合
さらに細かい点ですが、I’m going to ~とすると訪問することが以前から決まっていたように聞こえます。その場の流れで次回の打ち合わせを決めたのであれば、I’m going to ~ではなくI’ll ~のほうが自然です。
つまり、I’ll get to your office at three p.m. on Thursday this week.というのが誤解を与えない伝え方となります。
あとで挙げたような細かい点は相手もおそらく汲み取ってくれるでしょうが、日時や発注量などで誤解が生じるとお互いの会社に大ダメージを与えかねません。
ですから、ビジネス英語を学んで誤解の生じにくい表現を使うことが重要なのです。
理由3:英語圏の商習慣に慣れるため
理由1とやや被りますが、尊敬語や謙譲語がないと言われている英語ですが、言語の中にそのような種類がないだけで、尊敬する態度や謙遜する心はありますし、丁寧な表現というものは存在します。英語圏には英語圏特有のビジネスマナーがあり、一例として英語でもより丁寧な表現で言葉をまとめることが挙げられます。
平たく言うと「ビジネス表現=丁寧な表現」とも言えます。
例えば、会議室の場所を聞く際も、
“Where is the meeting room?”
と直接的に聞くのではなく、
“Could you please tell me where the meeting room is ?”
と丁寧に聞く必要があります。外国人の同僚に聞く場合などは直接的に聞くことも間違ってはいませんが、渉外などのビジネスというシーン、そしてもし相手が初対面だった場合、適切な表現とは言えません。
他にもメール特有の表現などがあります。例えば、
“Hello, I want to ask you about ~.”
と聞くのではあまりにカジュアル過ぎ、信用を損なってしまう可能性もあるので、
“Dear Sir/Madam. I am writing to you to enquire about ~.”
と、より丁寧かつフォーマルに表現する必要があります。
これらは一例であり、丁寧に表現する方法は無数にありますので、必要に応じて覚えていきましょう。ビジネスシーンでは丁寧すぎるということはありませんので、できるだけ丁寧に話すことを心がけると良いです。
このようにビジネス特有の表現がありますので、そのようなシーンで英語を使うことを想定している方は別途でビジネス英語を学ぶ必要があります。
理由4:自分の専門に関する英語に慣れる必要がある
ビジネスといっても自身の業種や職種、専門などによっても様々です。ビジネス英語習得の最低ラインは、自身の業務に関係する英単語を覚えることです。そのやり取りが行われる際に使われる特有の英単語や表現を覚えなくては仕事になりませんので、必ず覚える必要があります。
例えば貿易会社に勤めるとなった場合、以下のような単語を覚えることが必須です。
■Proposal (売り申し込み)
■Inquiry (引き合い)
■Invoice (送り状)
■Counter Offer (反対申し込み)
■L/C (信用状)
これらの単語は日常生活ではあまり使うことのない専門用語です。このような自身の業務に関係する単語や表現を覚えることも、ビジネス英語の学習に含まれます。
理由5:相手との距離感を調整できる必要がある
少し難しいように聞こえますが、渉外などのビジネスシーンでは相手との駆け引きが勝負になります。そこで重要になるのが相手との距離感です。もちろん物理的な距離ではなく、心理的、コミュニケーション的な距離感です。初対面の相手に馴れ馴れしくしてはいけませんし、長期にわたって関係のある方といつまでも距離を保っていては話が進みません。
ビジネス英語が難しいといわれている理由は、その表現の多さです。表現が多いということはそれほど繊細に物事を描写する必要があるからです。そして、そのような繊細な描写が必要なことは、それほど信頼関係を築くことが難しいことを表しています。
ビジネスシーンで信頼関係を築く過程では、相手との距離を常に適切に保てるような言葉遣いが求められます。例えば相手の提案を断るときは直接的に「NO」というのではなく、
“I am afraid that (恐れ入りますが)”
“Unfortunately (残念ですが)”
“I was wondering if you could ~~(~していただけますでしょうか)”
というように相手に気遣いの言葉を使わなければなりません。遠回りのように聞こえますがそういった積み重ねがビジネスの成功に繋がりますので、このような距離感を調整できる表現を覚えることもビジネス英語の表現といえるでしょう。
ビジネス英語の勉強法
では、これから具体的にどのようにビジネス英語を学んでいくかを説明します。
ここでは、初級者はTOEIC L&R400~680、中級者はTOEIC L&R685~850を想定していますが、あくまでも目安です。
語彙はそれほど多くないけれど会話は非常に上手という人もいれば、リーディングはテストで満点近くとれるのに英作文になるとサッパリという人もいます。
初級や中級と言ったカテゴリにこだわらずに、勉強法の参考になる部分がないかという視点で読んでもらえると幸いです。
総合編その1:NHKラジオ英会話・NHK入門ビジネス英語
リスニング、発音練習、文法と幅広く総合力を鍛えるのには、NHKのラジオ講座がお勧めです。
関連記事:英検1級講師が教える NHKラジオ講座5つの英語勉強法と注意点
NHKラジオ英会話は日常会話が中心ですが、スクリプトには依頼のしかたとその応答、約束に関するやり取り、感想に関する表現などがふんだんに盛り込まれています。
たとえば、
Actually, something just came up.「実はね、たった今、急用が入ったの」
といった表現はそのまま職場で使えそうですよね。
どのようなニュアンスで使うのかも解説してくれていますので、ビジネスに相応しいのかを判断する基準にもなります。
もちろん聞き取りの練習と発音の練習も同時にすることができますし、その日のキーセンテンスについては応用練習として英作文のコーナーもあります。
月曜から金曜まで放送されていますので、毎週の勉強のペースメーカーになってくれるのも嬉しいところです。
入門ビジネス英語はアポ取りやプレゼンテーション、価格交渉といった実際のビジネスシーンの会話を取り上げています。
たとえば、
Could you email me your product list?「商品リストをメールしてもらえますか」
といった英文が毎回出てきますので、ビジネス用の表現力を鍛えるには絶好の番組です。
ラジオ英会話で少しレベルが高いと思った人は、基礎英語2や3あたりから始めるとよいでしょう。英語は簡単すぎるくらいのレベルから入ったほうが確実に基礎が固まるので結果的に早く上達します。
ラジオ英会話が簡単だと思う場合でも、聞いて内容が理解できる段階ではまだまだ不十分です。自分から発信できるレベルを目指してください。
ちなみにNHKには実践ビジネス英語という番組もありますが、こちらはビジネスパーソンの雑談を通して世界のトレンドについて取り上げているものです。
非常に興味深く、勉強にもなる番組なのですが、ターゲットとしているリスナーがおそらくTOEIC800点台後半、英検準1級以上ですので、初級~中級の間は手を付けない方がよい教材です。
関連記事:NHKラジオ講座で学ぶ英会話【上級者直伝】効果的な使い方とおすすめ番組
総合編その2:TOEIC L&R レベル別問題集(東進ブックス)
リスニングとリーディングに関しては、基本的にTOEIC L&R(以下TOEIC)の対策集を中心に進めていくのがお勧めです。
確かにTOEICはテクニックで得点を上げることができたり、スピーキングやライティング能力に関係なく正解できるため、得点と英語力が必ずしも比例しないという弱点があります。
しかし、TOEICには同僚との会話、上司から部下への指示出し、職場内でのグループチャット、取引先へのメールといったビジネスシーンには欠かせない要素が満載です。
覚えた単語やフレーズがどのように使われるのかを知るのに非常に良い教材です。ただし、TOEICをビジネス英語の教材として使うときには注意点が2点あります。
1点目は、答えがわかるだけで満足しないことです。
TOEICは四者択一(リスニングPart2のみ三者択一)のテストですので、テクニックで正解がわかる問題もあります。
例えば、Part5の単語選択では単語の意味がわからなくても「ここには形容詞が入るからlyがついている単語が正解」というように、品詞だけで正解を選べることがあります。
Part7の長文読解であれば設問を先に読んでキーワードを拾い、本文はキーワードに関連する部分だけを集中して読むという方法で正解できる問題もあります。
こういったテクニックを本番で使用するのは全く問題ないと思いますが、普段の勉強をテクニックの習得だけに充てるのは感心しません。
問題文も選択肢もない実際の会話ではこうしたテクニックはほとんど役に立ちませんし、テクニックだけに頼っていてはTOEICのスコア自体も伸び悩みます。
単語を覚える努力をした人にしか単語は覚えられませんし、聞き取るための練習をした人にしか英文は聞き取れません。文章を読むトレーニングをした人にしか英文は読めないのです。
長文やリスニングで文意を掴むには、何よりも音読です。
まずはフレーズごとに意味が一瞬で浮かぶようになるまで繰り返し読んでください。
次に文全体をスラスラと言えるようになるまで、返り読みをしなくても文意がつかめるようになるまで読む練習をしましょう。
これだけで読解力も速読力も上がります。
さらにこのときに、付属CDやダウンロード音声等とできるだけ同じように読めるように練習すればリスニング対策、スピーキング対策にもなります。
2点目は、レベル別の対策集をメインに使うことです。
TOEICは初級者から超上級者まで同じテストを受けるため、1つのテストに中学生レベルの問題から990点満点を何度も達成している人でさえ迷うような問題まで混在しています。
そのため「本番と同形式の問題を○回分掲載!」と書いてあるような対策集の場合、990点ホルダーでさえ悩むような難問が入っている可能性が高いのです。
このような問題集は試験形式の確認や時間配分の練習にはよいのですが、間違えた問題があったときに何から先に覚えればよいのかがわからないので、実力を段階的に鍛えるのには向いていません。
間違えた問題を解き直そうにも、そもそも解説に書いてある内容が全く理解できないということもよくあります。
まずは東進ブックスのレベル別問題集のように、目標点数が明確になっているものを用意したほうが解説のレベルも合っていますし、その時点で覚えなければならない知識を中心に勉強することができます。
少なくとも700点台、できれば800点台に達するまではレベル別問題集で間違えた問題や知らない知識を徹底的に潰していくほうが効率がよいでしょう。
英文法
英語の勉強は究極のところ、ルール(文法)に従って単語を入れ替えるというだけの話です。文法の基礎知識があるのとないのでは、同じだけ時間をかけても学習効率に大きな差が出てきます。
ですから、文法は早い段階で一通り学習しておく必要があります。
ただし、相手に正しく要件を伝えるという目的では無理に複雑な構文を使わなくてもよいため、要求されるレベルはそれほど高くありません。
そのため分厚い文法書や問題集を演習するよりも、概要がおおまかにわかるものを短期間で終わらせてリスニング、リーディング、英作文に本腰を入れた方が効果があります。
わたしのお勧めは以下の3冊です。
初級者向け:中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく。(学研)
初中級者向け:高校英文法をひとつひとつわかりやすく。(学研)
中級者向け:Grammar in Use Intermediate(Cambridge University Press)
中学英語を~と高校英文法を~は、①構成が見やすい、②解説・問題で見開きになっているので取り組みやすい、③分量が多すぎず、基礎に重点を置いているので短期間で基礎事項を確認するには非常に優れている、という長所があります。
中級者向けのGrammar in Use Intermediateは、外国人向けに英語で英文法を解説している本です。
日本語を介さずに英語で英語が理解できる、演習量が豊富であるといった魅力もあるのですが、一番の魅力はそれぞれの文法のニュアンスを正確に理解できることです。
ビジネス英語では細かい知識を知っているとか難しい表現を使えることよりも、正確なニュアンスを知っている方が重要です。
もっと深く文法を学びたいという方に、ファーストチョイスとしてお勧めします。
なお、Grammar in Use Intermediateの姉妹書籍には、English Grammar in Useという本があります。
この2冊の違いは、Grammar in Use Intermediateがアメリカ英語、English Grammar in Useがイギリス英語がメインになっているという点です。
得られる効果に変わりはないのでどちらを使っても問題ありませんが、日本人の場合は中学高校とアメリカ英語を習っていますので、Grammar in Use Intermediateの方が若干親しみやすいと思います。
同社には初級者向けのBasic Grammar in Use(米)・Essential Grammar in Use(英)、上級者向けのAdvanced Grammar in Use(英)という似た名前の書籍がありますので、間違って購入しないように気をつけてください。
ちなみに、Grammar in Use IntermediateとEnglish Grammar in Useはシリーズでも中級者向けに設定されており、上級者向けのアメリカ英語版はありません。
関連記事:優先順位No1【英文法】なぜビジネス英語に英文法が必要なのか?
語彙
初級者向け:キクタンbasic(アルク)
中学校や高校1・2年レベルの単語は、日常会話でもビジネス英語でも確実に多用します。
難しい単語を覚えるよりも、登場頻度の高い基本単語を確実にマスターしたほうが勉強の効率はグンと上がります。まずはこのレベルの単語に抜けがないか確認し、しっかりと覚えるところから始めましょう。
まずは単語を見て、発音と意味が浮かぶように繰り返してください。
このレベルの単語集には旺文社のターゲット1400、アルクのキクタンbasic、駿台文庫のシステム英単語basicなどがあり、いずれも優れた単語集です。
実際に手にとってみて気に入ったものを使ってもらえばよいと思いますが、敢えてお勧めを選ぶとすればキクタンbasicです。
キクタンでは見出し語→意味→フレーズ→例文の4ステップで単語を覚えていきますが、最新版ではこれらの全てが音声ダウンロード無料となっています。
そしてこのレベルの単語は、スピーキングやライティングでも多用しますので、フレーズを丸暗記して使いこなせるようにすることが重要です。(逆に言うと、TOEIC900点以上や英検1級をターゲットにしている単語になると意味がわかるだけで十分なものの方が多くなります。)
たとえば、depend「頼る」ならdepend on other countries for oil「石油を他国に依存している」、discuss「議論する」であればdiscuss which way to go「どちらの道を行くか議論する」というフレーズまで覚えるようにしてください。
そうすることで意味を思い出しやすくなりますし、depend youやdiscuss about the problemといったよくある間違いも防ぐことができるようになります。(正しくはdepend on youとdiscuss the problem)
システム英単語も同じようにフレーズが用意されているのですが、音声CDが別売りという点でわずかにキクタンに軍配が上がります。
ちなみにスペルは何度も書いたり入力したりしていくうちに自然と覚えますので、単語帳を使う段階では発音と意味、フレーズを覚えることだけに集中して構いません。
中級者向け:TOEIC L&R TEST 出る単特急 金のフレーズ(朝日新聞出版)
基礎レベルの単語を一通りマスターしたあとは、そのままキクタンやシステム英単語、ターゲットの上級編に進んでも構いませんが、効率を考えるとTOEIC用の単語集に移るのがよいでしょう。
何と言ってもビジネスシーンで使われる単語が多いからです。
例えば、sales department「営業部」やconference room「会議室」といった単語がふんだんに出てきます。
また先程も述べたとおり、リスニングやリーディングの教材にはTOEICの対策本が最適です。頻出単語を先に覚えてしまえば、リスニングやリーディングの勉強の負担を大幅に減らすことができます。
こちらも様々な書籍が出ているので、実際に手にとって気に入ったものを選べばよいと思いますが、お勧めを1つ挙げるならやはり売上ナンバーワンのTOEIC L&R TEST 出る単特急 金のフレーズです。
こちらもキクタンと同様に音声ダウンロードが無料、フレーズを中心に覚えることができる上に、出題頻度や難易度の順に掲載されていますので、非常に効率よく覚えていくことができます。
金のフレーズでは少し難しいと感じる人は、姉妹書に銀のフレーズがありますので、先にそちらで基礎を固めるのもよいでしょう。
関連記事:英単語の覚え方【暗記が苦手な人】のための効率的な覚え方6ステップ
英作文
初級者向け:ビジネス英語活用ドリル2000+(アルク)
先程も述べましたが、日本人が自分の知っている単語をつなげて英文を作ると相手に失礼な表現や誤解を招く表現になってしまうことが多々あります。
ですから、初級者はまずはよく使う表現を覚えてしまうのが効率的です。
この手の表現集には様々なものがありますが、最初はアルクのビジネス英語活用ドリル2000+のように、基本パターン+応用例で構成されているものを使うのがよいでしょう。
2000個(実際には2200個)も英文を覚えるのは大変と思うかもしれませんが大丈夫です。この本の場合は、220個の基本パターンがあり、若干単語を入れ替えただけの応用例がそれぞれ10個あるという構成になっています。
実際に覚えるのは、220文+覚える必要がある単語だけです。
例を挙げると、最初にI have a question (about ~).「(~について)質問があります」などの基本パターンがあり、そこに「次の会議について質問があります」「御社について質問があります」「その計画について急ぎの質問があります」というように実際の会話に使えるような応用例が載っています。
また、英作文の基本である基本表現から単語を入れ替えて自分の言いたいことを表現するという練習も自然とできるようになります。
なお同じシリーズにビジネス英語表現大辞典6000+という書籍がありますが、こちらは使う人もいれば使わない人もいるという表現が大半を占めています。
タイトルどおり辞書的に使うのが正解です。
初中級者向け:瞬間英作文シリーズ(ベレ出版)
基本フレーズを自分なりに応用したり、基本フレーズにない文を表現するには英作文の技術が必要です。
つまり何かを言おうとしたときにベースになる英文がパッと頭に浮かぶようにしておくこと、その英文のどの部分を変えればいいかがわかることが重要なのです。
そのためのトレーニングとしては、瞬間英作文シリーズをお勧めします。
瞬間英作文シリーズは各見開きで文法表現を1つ取り上げ、単語を入れ替えたり疑問文や否定文にすることで表現パターンを増やしてくトレーニングをします。
これをやり通せば中学文法を一通り使いこなせるようになり、また一瞬で頭に英文が浮かぶようになります。
中上級者向け:Grammar in Use Intermediateを参考にオリジナル文作成
更に表現力を鍛えたければ、Grammar in Use Intermediateの文を自分のオリジナルに改造する練習をしてみてください。
たとえば、My flight leaves at 11:30, so I need to get to the airport by 10:00.という文を参考に、My train leaves at 7:20, so I need to get to the station by 7:10.といった自分の仕事に直結するような文に作り変えてみるということです。
主語を同僚の名前に変えるだけでも構いません。
目的語の名詞を自社の製品に入れ替えるだけでも構いません。
すべての例文で作り変えるのは不可能かもしれませんが、自分に関係ある英文を作るトレーニングをするだけでも理解が深まり、使える英文のストックが増えていきます。
関連記事:英作文で英会話の伸び悩み解決!効果的な添削方法、参考書、学習のコツまでまとめて解説
オンライン英会話
初級者向け:日常会話コース・ビジネス英語コースでのロールプレイ
初級者にとってオンライン英会話の最大の目的は、英語を話すときに躊躇しなくなるようにすることです。
「講師の言うことが理解できなかったらどうしよう」「間違えたら恥ずかしい」「言葉につまったらどうしよう」という気持ちを捨てましょう。
失敗を恐れずにチャレンジしてください!
とは言っても最初は不安でいっぱいですよね。
私は英検1級の二次面接対策で初めてオンライン英会話を利用し、当時すでに準1級には合格している状態でしたが、それでも登録したときはドキドキしましたし、最初の1~2週間はレッスン開始ボタンを押すのにも勇気が要るものでした。
最短距離で英語を上達させたい、必要な表現から順番に覚えたいという気持ちはわかりますが、自分の思っていることや言いたいことを言うのは結構ハードルが高いことなのです。
最初のうちは日常会話コースやビジネスコース初級のロールプレイなど、話す内容が決まっているレッスンでオンライン英会話に慣れるところから始めたほうがよいでしょう。
先に何を言うか決まっているので心の準備ができますし、講師の質問に答えられなくて気まずい沈黙が続くこともありません。
レッスンに慣れてくると、間違ったことを言っても講師に笑われたりしないとか、思った以上に講師がこちらの話を理解しようと頑張ってくれることが実感でき、リラックスして話せるようになるはずです。
この頃になると、むしろ自分から色々と話したくなってきます。
まずは「英語を話すのが恥ずかしい」という段階を卒業できるように頑張ってください。
中級者向け:フリートークで仕事に関する会話
ある程度オンライン英会話に慣れてきたら、フリートークに挑戦してみましょう。
実際の会話では相手はテンプレート通りに話してくれたりはしませんので、フリートークで場数を踏むことは貴重な経験になります。
面接の自己PRやプレゼンなどを予行演習しておけば、自信をもって本番に臨めることでしょう。
私のお勧めは、仕事について沢山質問してもらうことです。
I need to use English in business situations.
So, if I use any improper expression, please help me amend it.
「今日は私の仕事について沢山質問してくれませんか。
私は仕事で英語を使わければなりません。
だからもし私が何か不適切な表現を使ったら,どう修正すればよいか教えて下さい」
このように依頼すれば、あなたが勤務している業界に全く縁のない講師でも会社の所在地や営業範囲、従業員数、業務内容、取り扱っている商品など、様々な質問をしてくれるはずです。
質問してもらうことで自分は何が言えて何が言えないのか、どのような表現を覚えればよいのかが明確になってきます。
最初は言いたいことを英語でどのように言えばよいかを考えるだけで精一杯かもしれませんが、次第にどのように言えば相手に興味を持ってもらえるかを考えることもできるようになります。
あなたが質問に対して上手に答えられるようになれば、さらに突っ込んだ質問がくるはずです。
ひょっとしたら、Are there any good restaurants around your office?「あなたの職場の近くでお勧めの食堂は?」なんて質問がきて、脱線することもあるかもしれません。
それはそれでビジネスの世界には雑談はつきものですから、よい機会ととらえて練習してみましょう。
一点気をつけてほしいのは、オンライン英会話の講師は英語のプロであってビジネスのプロではないということです。
仕事内容に関しては、指摘してもらった内容が必ずしも適切な表現であるとは限りませんので、あなたの意図した通りの英文になっているかどうかは複数の講師に確認してもらうようにしてください。
関連記事:初心者向け!オンライン英会話【おすすめ51社】比較2022年版
最終的には専門用語を正しく説明できるように
以上、初級から中級レベルのビジネス英語の勉強法についてご紹介しました。
ここまでクリアできれば一般的な業務で困ることはおそらくないでしょう。
ただしどの仕事であっても、職業に特有の言い回しや商品に関する用語などは必ずあるものだと思います。これらはオンザジョブでなければ鍛えづらいところです。
まずは最低限の知識を身に着け、よりステップアップしていくための方法として受け止めてもらえれば幸いです。