このサイトをご覧の皆さんの中には英語の学習に興味のある方が多いと思います。特に「マナビジン」のメインコンテンツであるフィリピン留学は英語を習得する上で効果的な方法の一つと言えます。
そうは言っても、英語の学習は一朝一夕にはいかないもの。英語の学習もある程度の期間が過ぎると、自分の上達のスピードが鈍っていると感じたり、英語力が停滞していると感じることがあります。学習の過程で自分がどのくらい進歩しているのか把握できないと、モチベーションが下がってしまうこともあるかもしれません。
そんなときに役立つのが英語の能力を測る各種検定テスト。テストで取得したスコアは、その時点での自分の英語の能力を客観的に把握するのに有効です。その上、テストの種類によっては英語圏の大学への留学受け入れの基準になっていたり、企業の採用・人事評価にも利用されています。
今回は、こうした英語検定テストの中で、日本ではまだあまり知られていない【iTEP】というテストを紹介したいと思います。
iTEP は、比較的歴史の浅い検定テストではありますが、アメリカ国内の大学や高校、大手企業などで認定されているため、このテストの一定のスコアを取得することでアメリカの大学への留学という扉が開かれます。
それでは早速、iTEP について調べてみましょう。
様々な英語検定テスト
英語の能力を測る検定テストには様々な種類があります。その中でも日本人になじみのある英語検定テストにはどういったものがあるのか確認してみたいと思います。すでにご存知の方も多いと思いますが、ここでは簡単におさらいしてみましょう。
1. 実用英語技能検定(英検)
まずは言わずと知れた「英検」です。英検は5級、4級、3級、準2級、2級、準1級、1級の7グレードに分かれており、3級以上からはスピーキングの試験も含めた、「読む」「書く」「聞く」「話す」の4技能を測定します。1級合格者に至っては、国家資格である「通訳案内士」の筆記試験のなかで「外国語(英語)」が免除となります。
年に3回実施され、年間受験者数が230万人にも及ぶ国内最大規模の英語検定テストです。
2. TOEIC
日本人の「 TOEIC 好き」はよく知られています。英語のコミュニケーション能力を評価する国際共通テストとして開発されましたが、特に日本と韓国の2カ国で広く浸透しているようです。日本では主に企業が従業員や就職希望者の英語能力を測定するために TOEIC を用いているケースが多く見られます。
「読む」「聞く」の能力を測る TOEIC(R) LISTENING & READING TEST は、リスニング 100 問、リーディング 100 問の合計 200 問を2時間で解く形式となっています。主にビジネスシーンを題材にした問題が出題されます。
3. IELTS
英国で開発された IELTS は、世界140の国と地域、10,000以上の機関に認定されています。IELTS には英語圏への大学などに留学する場合に出願する基準となる「 Academic モジュール」と一般生活や英語圏への移住などに必要な英語力を測定する「 General Training モジュール」の2種類のテストがあります。オーストラリア、ニュージーランド、カナダへの移民は IELTS が必須条件となっています。
フィリピン留学では、IELTS 対策コースを設けている語学学校も多く、留学生の IELTS への関心の高さが伺えます。
4. TOEFL
TOEFL は、Test of English as a Foreign Language (外国語としての英語テスト)という名称の通り、非英語圏出身者のみを対象としています。英語圏の大学などの高等教育機関が入学希望者の英語能力を判定するために TOEFL を用いており、英語圏の大学へ留学する学生向けのテストとも言えるでしょう。
現在日本では、パソコン上でインターネットを介して解答する TOEFL iBT(Internet-based Test) が実施されており、テスト用紙に手書きで解答するすペーパーテストは実施されていません。試験は全国のテストセンターの会場でパソコンを利用して実施されます。
(余談ですが、私はもう何年も前に TOEFL iBT の試験監督のアルバイトをしていたことがありますw)
では、これらのよく知られた英語検定テストと比較して今回紹介する iTEP にはどのような特徴があるのでしょうか。次の項目からは iTEP の特徴を詳しく調べてみましょう。
iTEPとは:どのような検定テストか
では、今回紹介する iTEP とは、先ほど紹介した幾つかのテストとはどのように異なるのでしょうか。まずは iTEP について調べてみましょう。
iTEP は、International Test of English Proficiency の頭文字をとった呼び方です。米国 Boston Educational Services 社が2008年に発表した比較的新しい英語検定テストです。
しかし、iTEP が米国で紹介されると、そのテスト予約の自由度の高さやテスト結果の迅速な発表などの特徴のため多くの教育機関や団体に取り上げられました。アメリカの数百を超える大学が、入学希望者の英語能力判定に iTEP を採用し、また大学進学前の英語集中プログラムでの学生の英語能力判定、クラス分けレベルチェック、プログラム終了時の達成度を測る目的で iTEP を採用しています。
また、アメリカ教育省が定めた語学学校の認定機関、ACCET(Accrediting Council for Continuing Education and Training) や ACEI (Academic Credentials Evaluation Institute) が正式に承認した検定試験です。
こうして急速に注目されるようになった iTEP は、多くの企業や研究機関、官公庁などでも採用されています。また、2009年から2010年にかけてはコロンビア政府が iTEP を英語検定能力テストとして正式に採用し、サウジアラビア政府も2011年から2012年にかけて iTEP を大幅に採用しています。
現在では、アメリカ国内で700校以上の大学、350校近い高校が iTEP を認定しており、まさに国際英語コミュニケーション能力検定として注目されています。
iTEP の特徴
iTEP の基本状況を把握したところで、早速 iTEP の特徴を見ていきましょう。
1.目的別のテスト科目
iTEP はその目的に応じてテストの種類が分かれています。ビジネスシーンでの英語利用を想定している社会人や留学などを念頭に置いている学生向けなどに以下のテストが用意されています。
iTEP Business
ビジネスにおける実践的で総合的な英語力を測ることができるのが iTEP Business です。マイクロソフト社や IBM、JP Morgan といった世界的な大企業で採用されており、世界で活躍するビジネスパーソンの英語能力を測る、世界基準と考えられています。
iTEP Academic
アカデミックな場面での英語能力を測ることができるのが iTEP Academic です。米国内の大学での進級や留学における入学判定テストとして採用されており、米国への留学を検討している人は取得しておくと良いでしょう。また、英語講師の判定基準としても利用できます。
iTEP SLATE
SLATE は (Secondary Level Assessment Test of English) の略で、高校生以下のジュニア用の英語検定として、主に日常の話題に関する問題が出題されます。米国では iTEP を採用している高校が多くあり、高校留学の入学時に英語能力を測定するテストとして利用されています。
法人・団体向け
今回は、主に個人受験者向けの情報をお伝えしていますが、iTEP は企業などの法人向けのテストも用意しています。一般企業には、法人向けの iTEP Business とホテルやレストランなどの接客サービス業を中心とした企業向けの iTEP Hospitality (スピーキングとリスニングのみ)も用意されています。
また、個別の企業のニーズに合わせてテストをカスタマイズすることも可能です。これは他の英語検定テストにはない特徴です。
企業としては、iTEP を入社試験や社員研修、人事査定などの基準として活用することができます。企業の事情に合わせて英語能力を測れるのは非常に便利です。
また、学校向けに iTEP Acadeic と iTEP SLATE の団体受験も用意されています。
2. インターネットベースでの受験
iTEP 最大の特徴は、インターネットベースで手軽に受験できるという点にあります。インターネットを介した受験スタイルは、TOEFL iBT でも採用されているものの、他の検定試験とは大きく異なります。
さらに iTEP の申し込みもインターネットで実施しています。試験会場に空きがあれば、申し込みから最短3営業日で受験が可能です。そして試験結果は受験後7営業日以内に Email で送られてきます。受験者にとっては非常に手軽かつスピーディに受験することができます。
3. テスト受験時間わずか90分
iTEP はテスト時間の短さもその特徴の一つです。その所要時間は90分。これは、開始前の説明に要する10分を含んでいるので、テストそのものは実質80分という短さです。
参考までに他の検定テストの所要時間をご紹介します。
こうしてみると、iTEP の所要時間の短さが際立っていますね。
4.テストの構成:文法セクションあり
iTEP は、「リーディング」「ライティング」「リスニング」「スピーキング」の4つに「文法」が加わった5つのセクションで構成されています。「文法」セクションが設けられているのは iTEP の大きな特徴と言えるでしょう。
解答はすべてパソコンに入力します。そして、試験はすべて英語で進行するので注意が必要です。
各セクションの所要時間と解答形式の説明については以下の表をご覧ください。
受験中、パソコンの画面には残り時間が表示されています。時間を確認しながら解答するスピードを調整すると良いでしょう。すべての検定テストに共通して言えますが、時間の使い方はテストの成否を分けるので十分に注意しましょう。
5.iTEP スコアレポート
iTEP では、「文法」「リスニング」「リーディング」のセクションをコンピュータで自動採点します。そして、「ライティング」と「スピーキング」については、アメリカで認定を受けた専門家が採点します。
iTEP のスコアは0.0(初級) 〜 6.0 まで 0.5 ずつの13レベルで判定されます。スコアレポートは受験後7営業日以内に Email で届けられるので、申し込みから結果の受け取りまで非常にスピーディです。
▶︎ iTEP Official Score Report サンプル(Business)
さて、iTEP の13段階のレベルがどのくらいのレベルなのか知りたいところ。他の検定テストと比較した表をご覧ください。
▶︎ iTEP Official Score のレベル解説はこちらを参照。
iTEP は海外への扉を開く
すでに何度か述べている通り、iTEP はアメリカの 700 校以上の大学で採用されています。申し込みが容易で90分というテスト時間で受験できるため、海外留学を検討している人にとっては非常に便利です。留学を機に海外進出する上でハードルが下げられているとも言えます。
また、iTEP はまだまだ数は少ないものの、アメリカ以外の大学でも採用されています。欧米では英国、フランス、カナダ、中南米ではメキシコ、コロンビア、アジアではイラン、イラク、それに中国といった国々の一部の大学が採用しています。
▶︎ iTEP を採用している大学の一覧はこちら。
特に英語教育と海外留学への熱が高い中国では、すでに iTEP は大きな注目を集めています。さすがは、「中国人の英語学習者人口がネイティブスピーカーの人口を上回る」と言われるだけはあります。常に世界を向けている彼らは目の付け所が違いますね。
iTEP のテスト対策? 日常の英語力をブラッシュアップ
TOEIC や IELTS などは「テスト対策」の勉強法が存在します。テストの形式に慣れることや、選択肢の選び方や「問題より解答を先に見る」といったテクニックなどを紹介した試験対策本もたくさん存在します。実際、語学学校の多くが TOEIC や IELTS の対策コースを展開しています。
しかし、iTEP の場合は活きた英語を評価するため、特に試験対策という勉強法がありません。そのため、iTEP で高得点取得を目指すのであれば日常のコミュニケーションで使用する英語を鍛える必要があります。より実践的な英語を身につけ、実際にその英語を使用することで自分の英語力を高めるように努めましょう。
フィリピン留学をはじめ、実際に海外で現地の人と英語でコミュニケーションを取ることは良いトレーニングになります。フィリピン留学を検討されている方、実際に留学中の方は、この機会をとらえて活きた英語を鍛えてみましょう。
なお、iTEP 公式サイトでは、英語力を鍛えるお薦め書籍として、以前「マナビジン」でもご紹介したラダーシリーズを紹介しています。
申し込み手順
さて、それでは実際に iTEP を受験する場合の申し込み手順をご紹介します。
受験料
iTEP の受験料はテストのタイプにより異なります。
iTEP Business : 12,000円(税別)
iTEP Academic: 11,000円(税別)
iTEP SLATE: 11,000円(税別)
申し込みの流れ
申し込みはインターネットを介してご自宅のパソコンから申し込めます。
1. iTEP 公式ウェブサイトの申し込みフォームから申請。
※申し込みフォームはこちら: iTEP JAPAN 試験申し込みページ
2. 受験料の振込。
※受験日時と会場が確定したら Email にて連絡が届きます。メール受信から1週間以内、もしくは試験前日までのどちらか早い日程までに指定口座に振り込む必要があります。
3. テストセンターにて受験。
振込確認のメールが届くので、そのメールをプリントアウトして公的身分証と一緒に会場に持参する。
まとめ
今回は日本ではまだあまり馴染みのない iTEP という英語検定テストを紹介しました。
比較的新しい検定テストということで、テストについての情報が少ないかもしれません。しかし、アメリカの大学への留学を検討している場合は、一定のスコアを取得することで入学の扉が開かれるため、海外進出の良い足がかりとなるかもしれません。
インターネットによる受験スタイルや、申し込みから受験、スコアシートの受け取りまでが非常にスピーディという点など、受験者の利便性を高める工夫が見られます。
活きた実践的な英語の能力を測定することができる点、また受験手続きのハードルの低さ、そして海外留学・就職への扉が開かれるということから今後日本でも大きな注目を集めるものと思われます。皆さんも興味がありましたら一度トライしてみても良いかもしれませんね。
その前に活きた英語を鍛えにフィリピン留学を経験するのはいかがでしょうか。現地で実践的な英語を身につければ iTEP 高得点も夢じゃないかも・・・?
それではまた。