グローバル化が進み、海外で勉強をしたり働いたりすることも年々ハードルが下がってきています。海外には行かないという方でも、日本国内で海外からの観光客などに出会う機会も増えているのではないでしょうか?
コロナウイルスの規制も徐々になくなり、久しぶりに街中でいきなり海外の方に英語で道を訊かれてどんな風に答えたらよいのか困ってしまったという経験を耳にすることも増えました。
国内外で英語が話せることのニーズの高まりも感じますよね。学校教育もそれに伴いカリキュラムが変化していっています。
筆者はゆとり世代(30代)で、教科として英語を学校で学び始めたのは中学1年生ですが、現在では小学3・4年生で外国語活動として、小学5年生からは教科として英語教育のスタートが早くなっています。
そんなこれからの時代に必要な英語力ですが、実際に日本人の英語力は世界でどれくらいの位置にいるのかをみていきたいと思います。
名前 MANAMI
プロフィール TOEIC880点(リスニング満点)取得後、ヨーロッパへ音楽留学。
現在は日本で演奏活動やピアノ講師の仕事をメインに行っている。
・2012年同志社女子大学卒業
・2012年9月~2016年6月 ヨーロッパに渡り、アムステルダム音楽院でディプロマ取得
・2016年9月~2017年3月 常勤講師として特別支援学校に勤務
・2017年〜2019年 ヤマハミュージックリテイリング に正社員として勤務
・結婚を機に退職し、現在フリーランスで演奏活動やピアノの指導を行なっており、音楽教室ではブログも執筆中
英語能力指数ランキングでの日本の順位は?
まずは、2022年度版EF English Proficiency Indexと呼ばれる、111の国・地域から221万人が参加した世界最大の英語能力指数ランキングで日本の順位をみてみましょう。
何位くらいだと思いますか?
真ん中くらいかなと筆者は想像していたのですが、日本は111ヶ国中なんと80位です。
世界平均スコアが502のところ日本は475と大きく下回っています。
アジア24か国の中でも、24か国中14位と上位半分にも入ることができておらず、能力レベルとしては低いという評価となっています。この低いというレベルで可能なタスク例として、
・観光客として英語を話す国を旅することができる
・同僚とちょっとした会話ができる
・同僚からの簡単なメールを理解できる
ということが挙げられています。また、日本と同じくらいの英語力の国としては、中華人民共和国、パキスタン、トルコという結果が出ています。
実際にトルコや中華人民共和国へ行った友人に話を聞くと、英語が通じないから大変だったという感想が多いので、おそらく日本へ来た海外の方も同じような印象を持たれているのではないかなと思います。
お隣韓国は36位です。
ちなみに、このランキングの1位は筆者の留学先のオランダでした。
たしかに、オランダ語が話せなくても何不自由なく暮らすことができたので納得の順位です。2位はシンガポール、3位はオーストリアと続きます。
1~13位の非常に高い英語能力の評価を得ている国々は、ヨーロッパが多いです。
日本国内の地域によっても、英語力の差が出ています。関東・関西と大都市があるところが高く、地方ほど低い傾向にあります。
驚きだったのが、年齢別の英語力のデータです。30代以上はおおむね世界平均と同等ですが、若い世代が世界平均を下回っています。
日本の英語教育の開始年齢は早まり、力を入れているように思われますが、良い結果にはなっていないようです。
統計をさかのぼってみてみますと、徐々に日本の英語力が世界と比べて下がっているようで、若い世代の英語力が順位にも影響を与えています。
英語を使う可能性も若い世代ほど多いと思いますので、必要に応じて英語力をアップしていけるのが理想ですね。
VERSANT
VERSANTというテストをご存じですか?
VERSANTは、世界の教育出版大手、英ピアソン社が開発した世界標準の英語テストで、世界100ヵ国以上で年間150万人が受験、米国防総省などの政府機関でも利用されています。
テストの特徴は実践を重視した内容で、発話をリアルタイムで理解し、的確に処理する能力が試されます。スマートフォンやパソコンから自宅で受験可能なので、ご自身のスピーキング力が気になる方はぜひチャレンジしてみてください。
すぐに結果がわかるので、勉強する際にどのような部分を強化したらよいのかの判断材料にもタイムリーに得ることができるのでおすすめです。
それでは、VERSANTの総合スコアの分布を見ていきましょう。ビジネス英語ができる上級者(58点以上)は1割弱に過ぎないという衝撃の結果が出ています。
英語をビジネスで使っている方はもっと多いような気がするのですが、十分な能力を持っている方は少ないですね。
また、英語のスピーキングが苦手な日本人の平均レベル(36~46点)は5割程度、そして英会話がほとんど成り立たない初級者(35点以下)が2割もいることからスピーキング力を強化することが今後の教育での課題だと感じます。
VERSANTとTOEIC L&Rのスコア
次に、VERSANTとTOEIC L&Rのスコア相関図を見ていきます。1番興味深いポイントは、ビジネスで英語が使える上級者の定義が58点以上なのですが、TOEIC990点の人でも実は話せない人がいるということです。
同じTOEICスコア保有者でも、スピーキング能力に大きな差があることがよくわかります。
履歴書などにTOEICのスコアを記入しますが、これだけ実際のスピーキング力に大きな乖離があるとTOEICのスコアが高いから、採用したけど実践では役に立たないレベルだったということも多々起こるのも納得です。
TOEIC L&Rでは、860点以上は最上ランクで「ノンネイティブとして十分なコミュニケーションができる」とESTが定義づけており、筆者も留学前にこのラインを目指していました。
880点を取得後留学しましたが、この相関図をひしひしと実感することになりました。
とにかく話していることが伝わらないのです。
リスニングはTOEICでも満点のため自信がありました。何を言っているか細かいニュアンスはわかりづらいことはあっても授業の内容など必要な内容や意味の理解はできました。
また、リーディングやライティングの分野は得意というわけではありませんでしたが、文献を読むこともできましたし、レポートを書くこともできました。
しかし、授業中のディスカッションや簡単にこなせるだろうと思っていた雑談が何より大変でした。
留学してすぐの頃には教授から「日本で本当に英語の勉強をしてきたの?」「中学生から10年間も勉強してそのレベルなの?」と言われたこともありますし、オランダ人の学生から「メールでは私よりも正しい文法が使えているし、とても意味がよく伝わる英語が書けるのになんで話すのは苦手なの?」と不思議がられたこともありました。
相関図からも、リスニング・リーディング・ライティングはできるけれど、スピーキングが苦手というのが筆者も含め日本人に多い英語力のパターンかもしれません。
VERSANTの詳しい内容はこちらから。
>>英語資格試験【VERSANT】で目標設定を!日本人平均、海外赴任のスコア目安付き
使える英語力を身につける方法
オランダ留学後は、日本で様々な英語の勉強方法は試したし努力もしたけれど、使える英語力が身についていないことを実感する日々。
きっとこのまま同じ英語の勉強を続けていても、スピーキング力は上がらないのだろうなと感じ、英語が得意なオランダ人に「どうやって英語を勉強したの?」と訊いてみました。
多くのオランダ人は、「字幕なしの英語の子供向けアニメや、オランダ語字幕ありの英語のドラマやドキュメンタリーなど、テレビをつければ自然に英語を聞く機会が毎日あったから、なんとなく小さい頃から意味も覚えていったし使い方もわかっていったよ」と教えてくれました。
英語を話す人がいる環境に身をおくことが1番スピーキング力のアップにつながるかとは思いますが、日本にいてもYouTubeなどで英語の番組を見て自然な英語に親しむことはできますよね。
ぜひ好きなジャンルの動画で楽しく試してみてほしいおすすめの英語力アップ方法です。
日本語と英語
日本人が英語のスピーキングが苦手な要因は、文法の違いが大きいと思います。
オランダ人が英語が得意な理由は、先に述べた自然に親しんでいたということ以外に、言語的に英語に非常に近いということもあるのではないでしょうか。
オランダ語と英語で単語は違いますが、文の構造はほぼ同じなので考える順序は変えなくてもよいのです。
しかし、語順の違う日本語では、日本語で話したいことをイメージしてそこから英語へ変換するという作業をしながら話をすると、文章を組み立てるのが難しく日常会話のスピードでは遅すぎてスムーズなコミュニケーションは取れません。
オランダにある研究所で世界各国の方と一緒に働いていた父は、英語で仕事をする時には日本語ではなく常に英語で考えるようにしていたと言っていました。
筆者も、留学してすぐの頃は、授業を聞いていても常に日本語訳が頭の中に浮かんでいましたし、話す内容もまずは日本語で考えていましたが、毎日英語を使っていると英語は英語で理解するという思考回路ができあがっていき苦手だったスピーキングも徐々にスムーズになっていきました。
日本語でも教科書に載っているような正しい形での会話は稀ですよね。英語で考え英語で浮かんだ言葉を恥ずかしがらずに発していくのが上達への近道です。
世界ランキングでは低い英語力となってしまった日本ですが、取り組み方次第ではスピーキングもレベルアップできると思います。
英語力がアップすれば広がる出会いや可能性もあります。コツコツ英語に親しんでいきましょう!
筆者の別の記事にてオランダ留学について書いています。是非ご覧ください。
>>ヨーロッパへの大学留学ならオランダ留学が安い!1年間の費用はいくら?
おすすめ関連記事:英語を楽しく学ぶ!107人に聞く独学英語勉強法、1位は?>>
青春時代に洋楽を聴いて、洋画を観て言葉を理解しようと一生懸命になっていた世代の方が英語力が高いのは当然ですね。コミュニケーション・ツールなのに試験ツールにしてしまった教育サイドの罪は重いです。
DADA様
たしかに結果を見る限り、現在のやり方が最適とは言い難いものがありますねー。