英語を身に着けたいと考えていても、自身が必要とする英語力がどの程度なのか見極めなければきりがありません。
もちろん英語力は高ければ高いほど良いと言えますが、自身が必要としている英語力、そして現実的に自身の英語力が現在どの程度あるのかを可視化するためにも、まずは目標設定から始める必要があります。
そこで英語資格試験です。
資格試験なら目標から逆算し、どの程度英語を勉強すればよいのか分かります。
目次
ビジネス英語のゴールを何にするか?
今回ここではビジネスで使える英語力に焦点をあててお話ししたいと思います。
まず、ビジネスではどのような場面で英語を使うことが想定されるでしょうか。
社内の外国人の同僚とコミュニケーションをとる、海外支社とやり取りをする、英語でミーティングをする、メールやチャットで英語を使って発信する、英語で外国人向けにプレゼンをする、海外の企業に交渉をする、海外赴任をする、など数えきれないほど想定できます。
ビジネス英語といっても必要とされている英語力は一概に定めることはできません。状況に応じて理想的な英語力は異なるのです。
では反対に、ビジネス英語の最低ラインを考えていきましょう。
一般的に一番簡単なビジネス英語とはおそらく同僚とコミュニケーションをとることですので、業務に必要な知識や経験を英語で話せることが最低限必要な英語力とも言えます。
海外赴任を目指すという人もいるでしょう。
その場合は海外赴任できるレベル、つまり、海外でビジネスパーソンとして最低限の生活ができ、ビジネスに支障をきたさない程度の英語力が必要となります。
さらに、現地でどのような業務をするかにもよりますが、まずはミーティングに参加できるレベルが最低限といえます。
つまり相手の意見を理解し、それに対して自分の意見がはっきり言えるレベルです。
このように英語力の向上には上限がありませんので、必要とされている英語力の下限を視野に入れると目標設定がしやすくなります。
「ChatGPT、Google翻訳、英語会議で喋らない」からの脱却
ビジネス英語を使うために脱却するべきこととは何でしょうか。
メールやチャットを目標にした場合を取り上げてみます。
メールやチャットによるコミュニケーションの本来の目的は情報を正しく相手に伝えることにあります。また、情報とは業務で必要な内容であったり、自身の意見などが挙げられます。
この目標を達成するためには、例えばGoogle翻訳を使ってメールやチャットのやり取りを脱却する必要があります。
Google翻訳は非常に無機質で機械的な翻訳になりますし、翻訳を介すことによって自身の意見を直接伝えられなくなってしまいます。また、翻訳は時間がかかりますし、それをつかうことは誰でもできますので、人材として必要とされなくなってします。
また、例えばミーティングに参加することが必要とされている場合には、自身の意見を明確に伝えられないといった状況から脱却することが求められます。会議に参加できない、もしくは参加しても会話が必要ないと思われてしまうと、ビジネスパーソンとして存在価値がなくなることを意味します。
ではどのようにそのような目標を達成していけば良いのでしょうか。
おすすめ目標設定方法は3つの資格試験
「英語力=単語力」といった単純なものではありません。聞いて、話して、読んで、書く、といった総合的な能力を身に着けることが重要となってきます。聞き取ることはできても話せない、読むことはできても書くことはできないといったバランスの悪い英語力ではビジネスシーンで活躍することは難しいでしょう。
そこで、LRSWを分けて、自身の英語力に合わせて各セクションで個別に目標設定することをオススメします。
① TOEIC LRで目標を立てる
一番わかりやすく一般的な指標はTOEICといえるでしょう。一般的なTOEICはリスニングとリーディングセクションの二つに分かれています。まずはTOEIC LRで目標を立てるメリットをご紹介します。
■ TOEICのメリット
ご存じの通り、それぞれのセクションは495点ずつと点数が非常に細分化されていますので、少しの英語力の向上でも分かりやすいのが特徴です。また、リスニングとリーディングの2つのセクションしかありませんので、非常にシンプルで学習効率が上がります。
リスニングセクションでは種類もイギリス英語やアメリカ英語などが話されており、英語の多様性という点でもカバーできています。また、TOEICは主にビジネスシーンを想定していますので、TOEIC対策で学んだことがビジネスシーンで直結することも特徴の一つとして挙げられます。
■ TOEICのデメリット
次にTOEIC LRで勉強するデメリットについて挙げていきます。
TOEIC LRではリスニングとリスニングといったインプットのセクションしかありませんので、スピーキングやライティングといったいわばアウトプットとなるセクションがありません。TOEIC LRのメリットに盲信してしまうとバランスの悪い英語力に繋がってしまう可能性があります。
コミュニケーションとはインプットとアウトプットのバランスが重要で、特にビジネスシーンではアウトプットが鍵となります。TOEIC LR対策は英語力には直結するものの、ビジネスシーンで活躍できることには直結しません。
また、日常英会話力が試される試験でもありませんので、日常英会話は個別で覚えておく必要があります。カジュアルな表現であったり、相手との距離を縮めるようなコミュニケーションといった観点ではTOEICの苦手とする分野でもありますので、別途で対策が必要です。
最後に挙げるTOEICのデメリットは、TOEICはあくまでも試験ですので対策次第で点数があげられるということです。
TOEICには問題文や出題に傾向というものがあります。それらを事前に把握し、点数をとるための対策をしてしまえば、本質的な部分を理解できていなくとも高得点をとることができます。
ですので、これが「TOEICが高得点=英語力が高い」ではないといわれる所以となっています。点数を上げることをだけに邁進するのではく、あくまでも自身の目標を達成するための指標ということを忘れないようにしましょう。
■ 具体的な目標点数は?
次に具体的なTOEICの目標点を挙げていきたいと思います。今回は外資系企業に転職することを想定してみます。
一般的にTOEICは700点あると評価されると言われていますが、上記でデメリットとして挙げたように点数を取るために対策が事前にできることと、リスニングとリーディングのみしか評価対象ではないことを考慮すると、800点〜850点は最低でも欲しいところではあります。
外資系企業に転職する場合は理想的には900点以上を取りたいです。一般的に900点の壁というものがあり、基本的な英語力に加えビジネス用英語対策が必要といわれていますので、900点以上を目指してみましょう。
② 英検で目標を立てる
TOEICと並ぶ英検でも目標を立てることができます。英検について少し深堀をしてみます。
■ 英検のメリット
まずは英検のメリットです。英検はTOEICと異なり点数で英語力を測定するのではなく、級の資格として英語力を測るものになります。級によって英語の難易度も高くなりますので、準一級や一級であればTOEICより難しい問題が出題されますので、TOEICでは測りきれない英語力の証明になります。また、英検ではスピーキングを含む4セクションから英語力を測定しますので、TOEICとは異なり総合的な英語力の証明になります。
英検では日常英会話からビジネス活用まで幅広く「使える英語」を測ります。また、文科省後援ですので、準一級以上を取得すれば入試のみならず転職でも役立つことがあります。
■ デメリット
今回あげるデメリットは二つあります。デメリットの一つ目はTOEICに比べ英検の扱いは劣るという点です。本来であれば各試験は同等に扱われるべきではありますが、実際のところTOEICの方が知名度も活用度も高く、英語力はTOEICで測られることが多いです。
実際に英検一級の参考書を見てもらえば分かりますが、その難易度はTOEICの問題をはるかに超えます。しかしながらそのような事実はあまり知られることはなく、英検一級を取得しても比較的アピールにすることができません。
二つ目のデメリットは英検は国内の資格であるという点です。海外の企業に転職する場合などは英検を取得していても、その資格の難易度を伝えることがあまりできません。もし、外国人が履歴書を見ることを想定した場合、TOEICの方が分かりやすい証明になります。
■ 具体的な目標点数は?
英検1級を取得するためには膨大な時間がかかるため、海外赴任、外資系への転職、会議で使える英語などを目指すビジネスパーソンは、まずは準一級を目指しましょう。翻訳・通訳など英語力自体を売りにする仕事であれば、1級を目指す必要があるかもしれません。
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③ VERSANTで目標を立てる
VERSANT(ヴァーサント)での目標設定も有効です。VERSANTは「本当に話せる英語力の証明」を謳っており、より実用的な英語力の証明になります。VERSANTのテストの種類には3つの種類(スピーキングテスト、ライティングテスト、プレイスメントテスト)があり、プレイスメントテストは4技能を総合的に測定する試験になります。
スコアは20点から80点で測られますので、点数の幅も広く英語力の証明として活用することができます。
スピーキングテストにおいては、日本人の平均は38点、海外赴任に必要なレベルが47点、900点〜990点の平均が54点、ビジネス英語上級者は58点以上と定義されており、更にそれぞれの点数でビジネスシーンで何ができるようになるのか、細かい定義もされているためイメージしやすく、目標設定としては非常に優れています。
■ メリット
VERSANTの最大のメリットは、正確な英会話力をすぐに把握できることにあります。
申し込みをしてから最短1営業日で申し込み表が配られ、テスト開始してから30分以内で結果が出ます。
ですので、VERSANTで「高得点を持っている=英語力が高い」と言い換えることもできる試験なのです。80点満点中60点を持っていると転職にも有利になるでしょう。
また、スマホでもパソコンでもネット環境があれば受講できる点も、従来の資格試験とは大きく異なり、大変便利です。
■ デメリット
そんなメリットのあるVERSANTですが、一つデメリットがあります。それは知名度です。今回この記事を読んでVERSANTという試験の名前を初めて聞いたという方も多いのではないでしょうか。TOEIC、英検と比べ知名度が圧倒的に低く、高得点を取得してもアピールに使える場面は少ないです。
英語に精通している企業ではその凄さを理解してくれるとは思いますが、一般的な企業には理解されていないのが現状です。
とはいえ、あくまで英語力をつけることが一番の目的であり、その目標設定としての指標ではありますので、英語力をつけるという目的さえ明確であればVERSANTを受験しても問題はありません。
■ 具体的な目標点数は?
ビジネスで英語を使うにあたって必要な最低限の英会話は47点と定義されていますので、まずはこの点数を目標にしましょう。
英語力が即戦力だと思われるレベルは58点以上です。
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その他の試験
他にも様々な英語の試験があります。有名なところではIELTSやTOEFLなどが挙げられます。これらの英語力証明試験に関して深堀をしていきましょう。
■ メリット
この二つの試験に共通するつのは4技能で英語を測るという点です。IELTSは各セクション0.5点刻みで9点満点、TOEFLは各セクション30点満点で評価をします。ともに非常にバランスの取れた試験ですので目標設定もしやすいのが特徴です。また、TOEICよりも難易度が高い問題もありますので、より高い英語力を求める人には最適とも言えます。
■ デメリット
これらの試験はビジネスよりもアカデミック寄り英語であることがデメリットの一つです。主に英国や米国への留学に必要な英語力証明として試験が想定されていますので、ビジネス英語を身に着けることは難しいです。
また、留学を考えたことがある人ならば認知度の高いIELTSとTOEFLですが、それ以外の目的に受験される試験ではないので、ビジネスシーンで有効活用することはできません。もし転職のための英語証明をしたいのであれば最適とは言えません。
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