まず初めに、IELTS(アイエルツ)って何の略?と思う人も多いでしょう。IELTSとは、「International English Language Testing System」の頭文字を取ったものです。
英語熟練度を測る英語検定の1つで、ケンブリッジ大学英語検定機構、ブリティッシュ・カウンシル、IDP Educationによって共同で運営されている試験です。
世界で290万人が受験し、海外留学や海外移住の際に必要な資格の1つ。特に海外の大学などに行く際には、TOEICではなくこちらを採用しているところが多いです。
GoogleTrendsでIELTSを2004年〜2018年までを調べてみると、このように需要は上がり続けています!
今回は、初心者でも十分チャレンジできるIELTSの特徴やメリットを紹介します。
1、そもそもIELTSとは?
IELTSの正式名称は『International English Language Testing System』と言います。海外留学や研修のために英語力を証明する必要がある人や、イギリス、オーストラリア、カナダなどへの移住申請をする人に最適なテストです。
また、イギリス、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドのほぼ全ての高等教育機関の入学審査において英語力を証明できるものとして採用されています。
世界140カ国、1,200以上の会場で受験することができ、英語力証明のグローバルスタンダードです。(日本英語検定協会 IELTS Official Test Centreホームページ 参照)
IELTSには「アカデミック・モジュール」と「ジェネラル・モジュール」の2種類のテストがあります。
アカデミック・モジュール
アカデミック・モジュールは、主に海外の大学進学を目指す人が入学条件である英語力の証明をするためのテストです。テストの内容はよりアカデミック(学術的)なものになっています。
ジェネラル・モジュール
ジェネラル・モジュールは、英語圏で学業以外の目的で英語力を証明する必要がある人のためのテストです。イギリス、オーストラリア、カナダなどの移住申請では、IELTSのスコアが必要になります。
ちなみにIELTSは、読む(リーディング)、聞く(リスニング)、書く(ライティング)、話す(スピーキング)の4技能を受験します。
スピーキングに関しては、TOEICやTOEFLがコンピューターを相手にして話すのに対し、IELTSは試験官と受験者による一対一での面接スタイルです。そのため、質問が聞き取れなかったり、理解が曖昧だったりする時には試験官に聞き直すことができます。
結果は合否判定ではなく、2.0から0.5ポイント刻みで最高9.0までのスコアによる評価です。4技能それぞれのスコアと、平均スコアであるオーバーオールが出ます。
また、IELTSの成績証明書は2年以上が経過すると無効になります。2年以上経過した成績証明書を利用する場合には、受験者本人が受験後も英語力の維持と向上を行った証明が必要です。そのため公式では、成績の期限は2年以内となっています。
2、IELTSとTOEICの違い
英語力を証明するテストとして日本でよく知られているのはTOEICですよね。では、IELTSとTOEICの違いとは何なのでしょうか。
TOEIC
一般的に多くの人が受験するTOEICは、TOEIC Listening & Reading(L&R)で、リスニング(聞く)とリーディング(読む)能力を判断するために使われています。
日本での就活や入試の際に、英語力を証明する際に有利です。試験は選択肢を選ぶマークシート形式で、インプットした知識をいかに発揮できるかどうかが問われます。
IELTS
IELTSは、世界140カ国で実施されており、自身の英語力を世界的に証明することができます。マークシート式であるTOEICに対して、IELTSは文章や単語を筆記する必要があり、スペルミスは減点対象になります。応用力や論理的な思考など、知識量より実践的な英語力が求められます。
要約すると、受験者が英語力を証明する目的や用途がTOEICとIELTSでは大きく異なります。日本国内で進学や就職のために英語力を証明したいのであれば、TOEIC。海外への移住や進学を目指しているのであればIELTSと分けられるでしょう。
IELTSやTOEIC、英検などのスコアの比較です。参考にしてみてください。
3、IELTSのメリット
① 自分の英語力を世界的に証明できる
IELTSの最大のメリットは、自分の英語力を世界的に証明できることです。日本で広く認知されているTOEICですが、海外では通用しないことの方が多いです。将来、海外で活躍したいと考えている人で、英語力を証明する必要があれば、IELTSのスコアは大きく役立ちます。
② 英語圏の大学進学、就職など可能性を広げられる
2つ目のメリットは、英語圏の大学進学や就職など、海外で活躍するチャンスを広げられることです。特にイギリスやオーストラリア、カナダ、ニュージーランドのほぼ全ての高等教育機関では、入学条件にIELTSのスコアの提出が義務付けられています。
また、アメリカでもTOEFLに代わる試験として、IELTSを採用する教育機関が増えてきており、その数は3,000以上です。海外の大学には、日本のような大学入試システムがなく、入学条件を満たしていれば入学可能です。それぞれの大学のレベルに応じたIELTSのスコアが定められています。
③ より実践的な英語力を身に付けられる
3つ目は、より実践的な英語力を身に付けられるということです。IELTSの試験内容は、アカデミック、ジェネラルそれぞれがかなり実用的な問題になっています。アカデミックは高等教育機関の入学条件とされているため、より学術的な内容になります。
例えば、提示されたグラフや表を分析して、英語でレポートを書くような問題。一方で、ジェネラルであれば、海外移住や学業以外の研修などを目的にしているため、より海外生活に根差した内容です。
質問として提示された求人票の内容を読み取れるかという問題。こういった類の問題を繰り返し勉強することで、より実践的な英語力を身に付けることにつながります。
④ 総合的に英語力が判断される
4つ目は、総合的に英語力が判断されることです。IELTSでは、丸暗記した文章や覚えた英語の知識量ではなく、論理的な思考や文章の一貫性などが評価される場合があります。また、スピーキングでは難しい単語を使って長い文章を作ることより、試験官の質問にいかに的確に答えられるかどうかで判断されます。インプットした知識をどうアウトプットするかが課題です。思考力や想像力、文章を構成する能力などが総合的に判断されるので、難しくもありますが、コツを掴めば評価されやすくもなります。
⑤ 海外移住や永住に有利
最後のメリットは、海外移住や永住を目指す際に有利になる場合があるということです。移住申請をする時に、IELTSのスコアが求められるメジャーな国としては、イギリスやオーストラリア、カナダがあげられます。
イギリスとオーストラリアは、アカデミック・ジェネラルのどちらでも問題ありませんが、カナダはジェネラルのみが有効です。細かな求められるスコアに関しては、それぞれの国や永住権の申請方法などによって異なります。
IELTSのスコアアップ!勉強方法・サービス5選
海外で正規留学や、交換留学を目指す方(特にオーストラリアやイギリスを志望)の方は多くの学校がIELTSスコアを要求していると思います。
しかし、ここで壁となるのがアカデミック英語というものです。おそらく皆さんが義務教育の過程で学んできた英語は基礎中の基礎であり、使うというよりも覚えたものをそのまま使うということが多かったかと思います。
しかし、IELTSではそれを使いこなし、なおかつ語彙量かつ学術的な表現も求められるという大変タフなテストとなっています。受験英語のみで目標スコアを取得することは難しいですし、テストである以上一定のスキルや慣れも求められるものです。
おそらくIELTSは5.5の壁(大学留学に必要なVISAのスコア)があると考えております。ここさえ超えれば基礎はできているので、勉強を怠らなければ向上していく点かと思います。
しかし、独学による勉強にも限界が見えてくるのも事実です。そこでイギリス大学院留学を筆者が果たすまでにたどったIELTSの勉強方法(主に学習サービスやその方法)を紹介していきます。
1.IELTS講座を開講しているスクールに通う
これは最もオーソドックスな方法ではないでしょうか。自分で補うことが難しいライティングとスピーキングパートに関しては、IELTS対策をする専門クラスを開講しているスクールに通うことも有効な手です。
費用はかかりますが、それに見合ったテクニックやあなたの弱点を指摘、修正してくれるはずです。
アメリカへの留学生の多さからTOEFL対策講座は多くの企業が開講していますが、IELTS対策コースは相対的に少数派となっています。IELTSコースはTOEFLなどの多くの語学コースと同じくグループ分けされていることが多いです。
例としてライティング特化、スピーキング特化、IELTS5.5突破クラスといった具合です。もし皆さんが強化したいのがスキルより全体であり、IELTSに臨むための基礎固めをしたいという場合には授業タイプのIELTSコースを受講することをおすすめします。
一般的にIELTS受験者の苦手なところや、どういったところで日本人受験者がつまずくのかスクール側も把握しているので、独学よりもノウハウや気を付けるべき点など学ぶ点は多いでしょう。一方で、伸び悩みの時期や、ある特定のスキル(スピーキング、ライティング)に関しては、割高ですが個人レッスンをおすすめします。
関連記事:IELTS対策スクール【24選】東京・大阪おすすめ塾&オンライン講座まで
2.Writing通信添削サービス
前述のIELTSスクールは確かに有効な手段ですし、非常にスコアアップに有効な手段です。しかし、少し調べてみるとわかると思いますが、対面指導はやはり費用が高いです。これから留学に行くのに、行く前の準備段階でお金が無くなってしまうということにも成りかねません。それでは本末転倒ですよね。
そこでおすすめするのが、通信でのIELTSライティング添削のすすめです。スクールに通って添削を受けるのも、オンラインで提出して添削を受けるのもライティング力向上には同程度の効果があると筆者は考えています。無論、細かい点まで見てもらうなら対面指導が一番でしょう。
しかし、IELTSは様々なパターンがあるので、数をこなさなければ当然対策にもなりません。そうなると対面添削ですと回数に制限もありますし、添削してもらえる課題の数にも限りがでてきます。
そんなときに使えるのが、オンラインでのIELTSライティング添削コースです。
実際に筆者が使っていたのは、GL ACADEMIAというオンライン専門のアイエルツコースを開講している企業です。
ここでは1日1回エッセイ課題を提出でき、それに対してフィードバックと模範解答であるサンプルエッセイが送られてくるという仕組みです。このメリットとしてはとにかく数をこなすことができることです。
筆者の場合は、Task2のみひたすら出し続けて添削してもらうということをやり続けました。結果として、書くことに慣れますので、これは本番の試験での効果も非常に大きいです。30日間(30000円のコース)エッセイを書き続けるのは予想以上に大変ですし、習慣化すれば英語のアウトプットも早くなってきます。
これは対面指導ではなかなか得られないメリットと言えます。もし対面指導で30回分の添削を受けるとなれば、その費用も膨大になります。おそらく10万円は超えてしまうのではないかと思います。そうなると費用対効果の面を考えると、オンライン添削は非常に有効な手段と言えます。
関連記事:【IELTS試験対策】リスニング・スピーキング対策に!おすすめスマホアプリ10選
3.お金は使いたくない!でも添削してもらいたい!添削無料ツールLang8
ライティング点数の伸び悩み理由としては、圧倒的なアウトプット不足に原因があると考えられます。理由として、ライティングでは瞬発力や普段からどのように文章を書いているのかが短い時間で問われます。
アカデミックモジュールの場合はTask1がグラフや図を説明する設問のため、一定の定型文やスキルの習得が重要となります。こちらに関しては文法的な練習や、ボキャブラリーは独学でも習得可能ですし、ある意味慣れてくればスピードも出てきます。この点は練習し、スピードアップすれば加点要素とはなってくるでしょう。
しかし、問題なのはTask2でしょう。250字以上の文字指定があるうえに40分以内で構成や意見を組み上げていくのは思った以上に時間がたりません。
例として、
「People attend colleges or universities for many different reasons (for example, new experiences, career preparation, increased knowledge etc.) Why do you think people attend colleges or universities?」
となると、自分の意見立案から構成そして結論まで4段落程度で構成していくと時間はなかなか足りません。
となると文法チェックの時間もなかなかありません。練習し、スピードを上げても正確さを欠けば元も子もありません。そこで普段からアウトプットとそれに対するフィードバックで自分のライティングを確認することが重要です。
そこでおすすめしたい無料サイトとして「Lang8」があります。ここでは自分で執筆したものを世界中のユーザーが無料で添削してくれるサービスです。無料なのであなたが添削すればするほど、ほかのユーザーがあなたを添削しやすくなります。
前述のようにアウトプットの機会と添削の機会を無料で得られることは少ないので、まずは分量少なめのパラグラフからでも課題を決めて、書き始めると練習になるでしょう。
関連記事:無料で英作文の添削!SNS / Lang-8(ランゲート)口コミ評判と使い方
4.英会話Youtuberのチャンネルを参考にする
私はこれをIELTS勉強の息抜きとしてやっていましたが、英会話の基礎や実際にどのようにして英会話チャンネルを持つYoutuberやその出演者たちが英語を学んだのかということを参考にできます。
例えば、Grammar in Useという文法書を使って、基礎固めをする!といった具合です。
一番知名度があるのはバイリンガール英会話のchikaさんのチャンネルではないかと思います。確かに、基礎表現から日常会話や素朴な疑問まで網羅されているページなのでスピーキングでこんな表現が使えたらなというフレーズを見つけられると非常に面白いと思います。
注意点としては、日常英会話やスラングなども紹介されている分、アカデミックな表現でない場合もあります。しかし、スピーキングではあなたの立場や意見表明などもありますので、ここでの英会話表現は非常に役立ちます。
例えば、IELTSで自分の“こだわり”について答えたい場合、なかなかその直訳は教科書や参考書からは浮かんできませんよね。そんなときChikaさんのチャンネルでは例文を用いて「The Horiguchi oyster farm is committed to making delicious oysters」と表現しています。
また加えて、「go to great lengths」=労力をかけるといった表現も説明されています。こういったイディオムやフレーズはなかなか活字からは習いにくいので参考になるかと思います。
もうひとつおすすめのチャンネルが「Atsueigo」のチャンネルを持っているAtsuさんのページです。筆者はこのページを渡英してから見た為、実際のIELTS学習には使ってはいませんが、授業のディスカッションといった場面で使える表現を見てなるほどと思ったことが何度もありました。
先述のChikaさんの場合はアメリカで過ごした期間が長いので、やっぱり帰国子女なのかという思いはありました。しかしAtsuさんは大学時まで日本生まれ、日本育ちそして独学で英語力を上げてきたという背景からなんとなく筆者は共感を覚えました。
やればできる人もいるというロールモデルを見ることは非常に大事ですよね。細かい英語学習方法から発音、アクセントまで詳しく解説しているので、一度参考に動画を視聴されることをお勧めします。
関連記事:海外英語学習Youtuberチャンネル【31選】ランキング-2022年版-
5.オンライン英会話を使ってスピーキング慣れをする
スピーキングに関してもライティングと同様に、慣れと一定量のボキャブラリーや定型文のインプットが必要となります。IELTSはYes or Noのクエスチョンよりも5W1Hを中心とした質問が投げかけられるため、具体的に答える必要があります。
例えば「Nowadays, the declining birthrate and the growing population of elderly people in Japan are really serious. What do you think about it?」と聞かれた場合、問題の即時理解と応答を即時にしなければなりません。
そこでえーっととなっているようでは、IELTS試験ではなかなか厳しいものがあります。少なくとも「That’s interesting question, but it is difficult to answer it. Let me think a little bit. Well… OK. I reckon・・・」といった間をつなぐような表現も大事になってきます。
このような表現は会話を経ていかなければ身に付きません。そこでおすすめするのがオンライン英会話です。こちらに関してはIELTSスピーキング対策そのものというよりも場慣れと英語をしゃべる脳に切り替えるという意味があります。
多くのオンライン英会話ではカリキュラムを用意しているケースが多いですが、IELTSでの目標スコア突破を目指す皆さんはあえてフリートークや自分でこれについて議論したいといった提案をして講師としゃべりましょう。
そのとき自分の得意なトピックではなく、普段しゃべらないようなトピックを意識して練習してみてください。最近のオンライン英会話では講師のプロフィールなどもあるので、そこから自分が普段触れないような分野を勉強した講師を選んでみると違った語彙が得られるかと思います。
筆者としては特別なおすすめスクールはないのですが、大手どころのレアジョブやDMMなど無料レッスンを体験して選んでみるとよいかと思います。
関連記事:初心者向け!オンライン英会話【おすすめ51社】比較2022年版
4、まとめ
私が語学学校でIELTS対策コースを受講している時に「ネイティブの高校生でもIELTSでオーバーオール9.0を出すことは難しい」と担当の講師から聞いたことがあります。
特に、ライティングでは、英語力だけではなく、問題を読み取って分析する力や、読み手が納得できる文章構成能力なども問われます。
日本人はアウトプットが苦手だと言われますが、繰り返し勉強することで、きっとコツを掴めるようになるはずです。ぜひ「難しそう」と諦めず、挑戦してみてはいかがでしょうか?
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