英語学習をするにあたって重要なのは、いかに楽しく勉強を続けられるかだと思います。
今回は英語学習動画、人気のYouTubeチャンネルである、エピック・ヒストリーTV(Epic History TV)を紹介します。
世界史1000年分が1動画10分程度〜1時間程度にまとめられており、英語と同時に歴史も学べます。
チャンネル名 Epic History TV
チャンネル登録者 70万人以上
2020年6月時点
製作者 Toby Groom(トビー・グルーム)
エピック・ヒストリーTVは、2015年にトビー・グルームさんが立ち上げた、歴史ドキュメンタリー動画シリーズです。主に英語話者が世界史を学ぶための動画ですが、英語学習者が視聴しても勉強になる内容になっています。
クオリティの高い臨場感あふれるアニメーションが多用されていて、歴史の全体像を理解しやすい内容になっています。まずは、こちらのトレーラー(宣伝用の予告編の短い映像)をご覧ください。
エピック・ヒストリーTVの製作者、トビー・グルーム
エピック・ヒストリーTVの製作者であるトビー・グルームさんにとって、歴史とはLifelong Passion(生涯続く情熱)だそうです。幼少期からギリシャ神話、アーサー王物語に慣れ親しみ、子供の頃はイングランド北部の古い城によじ登ったりして遊んでいたそうです。
大人に成長してからは、エディンバラ大学で歴史学の専攻で修士課程修了。その後は、イギリスのヒストリー・チャンネル(歴史関係のテレビ番組局)で13年間勤務されて、ドキュメンタリーの制作や執筆に携わります。
ヒストリー・チャンネルで働いた経験を活かして、現在はご自身の動画チャンネルであるエピック・ヒストリーTVの製作をされています。動画製作の下調べ、脚本の執筆、アニメーションまで全て製作者であるトビーさんご自身で行なっているそうです。
エピック・ヒストリーTVは、無料で見ることができる動画ですが、製作活動は視聴者や支援者からの寄付金で成り立っています。
エピック・ヒストリーTVの詳細は、下記のウェブサイトをご参照ください。
エピック・ヒストリーTVの動画シリーズはどんな英語レベルの人におすすめ?
エピック・ヒストリーTVは、もともと英語話者が歴史を学ぶ動画として想定されて製作されています。そのため、英語初心者の方には難しい内容だと思いますが、中級者以上の方はぜひチャレンジしてみるといいと思います。
前提の知識として、高校の世界史の内容をある程度、日本語でおさらいしておくと理解の助けになると思います。動画を見ていると、歴史の固有名詞の英語ボキャブラリーも自然と増えていきます。
英語話者との会話の中で、歴史の話題になった時に自信を持って話すことができるようになりますし、欧米の政治ニュースや絵画などの芸術を理解する上でも、歴史は大切なテーマです。
EPIC HISTORY TVのタイトル名の意味について
みなさんは、epicという英単語をご存知でしょうか?
epicという単語は、基本的に、叙事詩を意味する名詞です。叙事詩とは、物事や出来事を記述するための韻文です。民族の英雄や神話、歴史的な事柄を物語という形式で先祖から子孫へ語り伝えてきたものです。代表的な叙事詩としては、「ギルガメシュ叙事詩」「イリアス」「オデュッセイア」などが挙げられます。
epicという単語は、形容詞としても使われていて、その場合は「叙事詩のような」「英雄のような」「壮大な」といった意味になります。
最近では、epicはスラングとしても使われるようになっていて、その場合「最高だ」「素晴らしい」という意味合いで用いられます。
awesome(素晴らしい、すごい)という単語と似たようなニュアンスで使われています。
つまり、エピック・ヒストリーTVとは、叙事詩のような壮大な歴史を扱った最高の動画シリーズである、といった意味合いを込めて製作者の方はネーミングをされたのだろうと思います。ぴったりなネーミングだと思います。
Alexander the Great Part 1
こちらの動画は、アレキサンダー三世(アレキサンドロス大王)のシリーズです。アレキサンドロス大王は、言わずと知れた古代の英雄です。父王ピリッポス二世が暗殺で亡くなったあと、弱冠20歳の若さでマケドニア王国の王位を継ぎます。
ギリシャ世界の覇権を握ると、今度は当時世界最大の帝国ペルシャを制覇します。その後、わずか10年ほどの東方遠征で、彼はギリシアとオリエントを結ぶ一大帝国を築き上げました。
軍事の天才で、カリスマ的存在であったアレキサンドロス大王ですが、わずか32歳の若さで高熱で死去します。
全部で4回のシリーズで、アレキサンドロス大王の歴史的偉業の歩みをまとめています。
第1回目は、当時のギリシャ世界やペルシャ帝国の状況の背景、父王ピリッポス二世の死去からアレキサンドロス大王の即位と初期の歩みについて説明しています。特に注目すべきなのは、当時のマケドニア王国の軍隊の様子を伝える、臨場感あふれるアニメーションだと思います。
どうしてこんな僅かな期間で、アレキサンドロス大王の帝国が世界史の覇権を握ったのだろうか?と考えながら動画を視聴すると面白いと思います。
History of Russia(PARTS 1-5)- Rurik to Revolution
この動画シリーズは、ロシアの歴史全体を学ぶ内容になっています。全部で5つの動画をつなげてまとめたのが上記の動画です。
全部で約47分と長い動画ですが、紀元862年のリューリク(Prince Rurik)の時代から、1905年に起こるロシア革命の前までを扱っているので、1000年以上の長い歴史の内容をコンパクトにまとめた約47分ということになります。
ロシアは日本から近い国ですが、実はあまり知らない部分が多い国だと思います。ロシアは広大な国ですが、昔はヨーロッパと比べ近代化が遅れた国だと見なされていました。
動画の中では、ロシアの様々な時代の治世者が登場しますが、特に重要な王様は、1682年にモスクワ大公国の君主となったピョートル1世です。ピョートル1世は自らヨーロッパ諸国を訪問して、当時の先端の軍事・科学技術を学び、ロシアの近代化と西欧化政策を、強力なリーダシップで進めました。
もう1人の重要な人物は、ロマノフ朝の女帝エカチェリーナ二世(在位1762ー1792年)です。彼女はドイツ生まれの外国人でありながら、ロシア語を学びロシア正教にも改宗し、民の信頼を勝ち得て、ついに女帝として即位します。
ロシアの大国化を推し進めて偉大な業績を残しました。ロシア皇帝の中で最長の34年間在位し、最も領土を拡大したエカチェリーナ2世の人生は、波乱万丈で非常に興味深いです。
美しいグラフィックを見ながら、ロシアの歴史をダイジェストで学ぶことができる動画です。ぜひ視聴してみてください。
World War One – 1918
こちらは、第一次世界大戦の動画シリーズの第一回です。1914年、オーストリア=ハンガリー国の皇太子夫妻が暗殺されたサラエボ事件をきっかけに、世界を巻き込む大戦争が起こります。
当時のドイツ、イギリス、フランス、ロシアなど、諸国の複雑な同盟関係と思惑が、いかに世界戦争へと発展していったのか、地図を用いて説明されています。ヨーロッパの大戦は、やがてアフリカなどの植民地へも戦火が拡大していきます。
これまで世界史にはあまり登場してこなかった日本も、第一次世界大戦では関わってきます。各地の戦争の戦死者数が淡々とナレーションで語られていますが、その数の多さに驚かされます。
第一次世界大戦は、千数百万という甚大な数の犠牲者を出した悲劇の歴史であるといえるでしょう。
Suez Crisis Part 1
この動画は、1956年に起こったスエズ危機についてまとめたものです。スエズ運河は、エジプトのスエズ地峡に位置する、地中海と紅海(スエズ湾)を結ぶ、人工的に作られた運河です。
特にイギリスにとって、植民地インドとイギリスを結ぶ大切な運河であり、ヨーロッパが中東から石油などの資源を調達するためにも政治的に重要な運河でした。第二次世界大戦後は大英帝国の勢力が弱まり、イギリスの植民地は次々と独立していきました。
1956年にエジプトの大統領に就任したナセルはスエズ運河の国有化を行い、それに憤慨したイギリスの首相イーデンは、フランス・イスラエルと協力して軍事行動を行います。
エジプトは降伏目前になりましたが、英仏イスラエルの軍事行動は主にアメリカから非難され、結果的に戦争は停戦になり、エジプトはスエズ運河の国有化を見事に実現させます。
スエズ危機は、第二次世界大戦以後の世界情勢を理解するためにも重要な事件です。現代史は、様々な国が関係し合い複雑化して分かりにくい部分もありますが、この動画の説明は理解しやすいです。ぜひ視聴してみてください。
まとめ
いかがでしたか?エピック・ヒストリーTVは、英語を学ぶというよりも、英語で世界史を学ぶチャンネルなので、難易度は高いと思いますが、クオリティの高い内容で非常に勉強になります。
細かい歴史の詳細を学ぶというよりは、歴史の大きな全体像と流れを学ぶ内容の動画が多いです。YouTubeの各動画の説明欄には動画製作に使用した参考書籍なども書いてあります。
製作者のトビー・グルームさんの歴史に対する情熱が伝わってくる動画なので、ぜひ興味のあるテーマから視聴してみてください。
その他、英語学習に最適なYouTube動画はこちら