英語を英語で理解する英語学習は教材選びが重要
「ネイティブの英語を聞いて理解したい!」「英語だけの教材で英語を学びたい!」というのは英語学習者の共通の目標だと思います。
やはり英語を勉強するからには、英語のニュースを聞いて理解したり、英語のドラマを見て感動したり笑ったりしたいですよね。
私も英語の勉強を本格的に始めてから、何度もCNNやBBCのニュースや、FriendsやFull Houseなどのドラマを見てきました。
そして何度も挫折してきました。
時間を空けて何度も挑戦してきましたが、実際に私がニュースを聞いたりドラマを見たりしてある程度内容が理解できるようになったと実感できるようになったのは、英検1級に合格する前後からです。
ニュースやドラマは英語学習の題材としては非常によいのですが、独学で全ての内容を理解しようとするとものすごい負担がかかります。
政治や経済、文化等の背景知識が要求されますし、ネイティブ向けの容赦ない語句が使われ、ネイティブがストレスなく聞けるスピードで話しています。
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私がドラマ学習を始めたときには片っ端から知らない単語やフレーズの意味を調べ、聞き取れるようになるまで何度も聞き返していましたので、「今日は5分間のシーンを理解するのに1時間かかった」という日もありました。
このように、実力より遥かに高いレベルの教材を根性だけで押し切るような勉強は、労力の割に得るものが少なく、勉強を継続する意欲が削がれるので全くお勧めしません。
効率よく英語を勉強するには現在の自分の実力で6割以上、できれば8割以上理解できる教材を使って段階的に、そして着実に英語力を伸ばしていくことです。
そこで私がお勧めしたいのは、YouTubeでmmmEnglishやLearn English with English Class101などのネイティブ講師が出演している英語学習チャンネルを見ることです。
今回はこれらのチャンネルを活用するメリットについて説明したいと思います。
メリット1. 非ネイティブ向けのYouTube動画で聞き取りやすく理解しやすい
まず第1のメリットとして、これらのチャンネルはオールイングリッシュでありながら、非ネイティブが見ることを前提として作られているということです。
ネイティブ講師の英語学習チャンネルの多くは、アメリカやイギリスの言語学校で指導している講師が出演しています。
彼女らは日頃から多くの生徒と接していますので、非ネイティブの共通の弱点も知っていますし、どのように言えば伝わりやすいかもわかっています。
例文も幼稚過ぎず、難し過ぎもしないものを用意してくれています。
どんな場面で使うのか想像もつかないような例文や、英米圏でしか通じないような知識を必要とするものもほとんどありません。
例えば、mmmEnglishの現在完了と現在完了進行形の違いを解説する動画(動画ページはこちらをクリック)では、次のような例文を使って現在完了進行形の「続けていてまだ終わっていない」というニュアンスを教えてくれます。
→She’s borrowed our car.とすると「彼女が借りたので今自分のところに車がない」
I’ve been searching the Internet for more information.「私はインターネットでより多くの情報を探している」
→I’ve searched …とすると「探したが、現時点で情報がない」
We’ve been writing an essay about climate change.「私たちは気候変動についての論文を書いている」
→We’ve written …とすると「既に書き終えた」
なかなか実用的な例文だと思いませんか?
当たり前の話ですが、全てネイティブが日常会話で話す自然な表現です。市販の参考書にたまに書いてあるような日本人が考えた不自然な英語は一切ありません。
余談ですが、ここで私は非ネイティブという言葉を使っていますが、それは日本人だけでなく中南米やアジア、アフリカ、そしてヨーロッパの人々も動画の対象となっているからです。
私達はメディア等を通して英語が苦手なのは日本人だけというイメージを持たされていますが、ネイティブ講師の英語学習チャンネルを見ていると、「スペイン語圏の人々にはこの間違いがよく見られる」といった話も聞けて、日本人以外も英語の習得には苦労しているというのがよくわかりますよ。
メリット2. YouTube動画内のテーマが一貫しているので、推測力がつく
突然ですが、新聞記事の一部を消した次の文を読んでみてください。
「キャッシュカードの●にハサミで●●●●を入れ、使えなくなったように見せかけて持ち去る●●の●●●●が●●で相次いでいることが●●●●への取材でわかった」
●の部分にどのような言葉が入ると想像するかは人それぞれですが、記事の趣旨は伝わると思います。
もともとの記事は「キャッシュカードの端にハサミで切り込みを入れ、使えなくなったように見せかけて持ち去る手口の特殊詐欺が全国で相次いでいることが警察当局への取材でわかった」となっていますが、ほとんどの人は大筋では理解できていたのではないでしょうか。
会話をする上で最も重要なことは、相手が発した全ての単語を理解することではありません。
大事なことは、相手が伝えたいことを正確に理解することです。
人間は聞き取れた部分をつなぎ合わせて意味を類推する能力を持っています。
ネイティブ講師の英語学習チャンネルでは、同じテーマについて様々な例や説明を交えながら話しているので、最初は意味がわからなかった単語やフレーズの意味が想像できるようになります。
たとえば、mmmEnglishの「Pronounce English Words Correctly! SILENT SYLLABLES」ではsyllableについて説明しているのですが、syllableという単語を知らなくても全く問題なく視聴することができます。
動画内でsyllableという単語が繰り返し出てきますし、catは1 syllableで、healthyはheal・thyで2 syllables、enormousはe・nor・mousで3 syllablesと説明してくれるので、syllableというのは音節、つまり音のまとまりのことだと簡単に納得できるようになっています。
これがドラマやニュースになると、ワンフレーズが聞き取れなかったために展開が全くわからなくなることがありますし、テンポが悪くならないように同じようなセリフの繰り返さないようにしています。
様々な角度から英文の意味やニュアンスを解説してくれる英語学習チャンネルは、類推力を鍛えるのに最高の教材なのです。
メリット3. 英語学習時に基礎知識があるので理解しやすい
英語学習者がよくやる失敗が、全く未知の知識を英語で理解しようとすることです。
政治や経済に全く興味がないのに英字新聞の政治記事や経済記事を読んだり、映画を見たこともないのにハリウッドスターのインタビューを聞こうとしたりしていませんか?
英語の知識が足りないということは、これらの英語を理解できない理由の一部でしかありません。
日本語で書かれた数学の参考書を、何度読んでも数学が得意にならないという日本人はたくさんいます。
日本語で書かれたマニュアルを読んでも、最新家電の機能が使いこなせない人もたくさんいます。
恋愛小説を読むと、たとえそれが日本語で書いてあっても全く興味が湧かずに眠くなってしまう人だっているでしょう。
理解度というのは、言語スキルと基礎知識と興味関心の掛け算です。基礎知識がないことを新しく理解するのは英語だけでなく、日本語でも難しいのです。そして英語だろうが日本語だろうが興味がないことはまったく頭に入ってこないものです。
逆を言うと、既にある程度理解していることについて英語で説明している動画や文章を教材として使えば、何倍も効率よく理解できるのです。
この記事を読んでくれる皆さんは、ある程度英語の文法を学習していると思います。そして英語の勉強法についてもある程度の関心があると思います。
私がネイティブ講師の英語学習チャンネルを勧める理由がここにあります。
講師の説明に多少聞き取れないところや意味がわからないところがあっても、「助動詞の説明だからきっとこういうことを言っているに違いない」という想像がつくのです。
さらに「今は不定詞の話をしている」「今は比較の話をしている」と思いながら聞くと、それがトリガーとなって記憶を掘り起こそうとするので、普段より正確に単語を聞き取れたり、意味を思い出せたりします。
オールイングリッシュで動画を見続けたとしても、辞書を調べることなく大体の内容は理解できる動画がきっと沢山あるはずです。
メリット4. ESLYouTubeなら英語を英語のまま理解できるようになる
ネイティブ講師の英語学習チャンネルは、英語を英語のまま理解する練習をするのに丁度よい教材です。
10分間とか15分間といったまとまった時間を日本語を一切交えずに英語だけ聞くようにすると、いちいち日本語に直さなくても英語を理解できるようになってきます。
英語を英語のまま理解するには見た瞬間、聞いた瞬間に意味が浮かぶフレーズのかたまりを増やすトレーニングが重要です。
同様に長い英文を読んだり聞いたりするときにも日本語に置き換えるのをやめて、語順を直さないで理解する習慣をつけてください。
I saw a boy singing an English song in front of the bookstore when I was walking to the station.という文を読んだときに、「えーと…わたしは…when節以降を先に訳して…駅に歩いていったときに…いや時制の一致だから…歩いているときに…」と完全な日本語に直していませんか?
この文なら「Iは、sawした、a boyを、singingしている、an English songを、in front of the bookstoreで、whenときに、Iがwas walkingしていた、to the stationへ」で済ませます。
慣れてくれば「てにをは」すら使わずにsaw a boy singing an English songもwhen I was walking to the stationもそのまま意味がわかるようになります。
細かいことを言えば、文法のテスト的にはsaw a boy singingは「歌っている少年を見た」ではなく「少年が歌っているのを見た」と書かなければ○をもらえないかもしれませんが、ハッキリ言って些末なことです。
この練習をするには、ギリギリ理解できるレベルの英語を止めずに聞き続けることです。そしてそれに適しているのが、ネイティブ講師の英語学習チャンネルです。
国内の教材を使った勉強ではどうしても日本語の解説を読んだり意味を日本語で考えたりするので、勉強時間の半分は英語ではなく日本語での思考に使ってしまっています。
これでは日本語を使わずに英語を英語で理解するというのは困難です。
ネイティブ講師の英語学習チャンネルなら、当然ながら100%英語だけを使っていますので、勉強時間の全てを英語の習熟に使えるのです。
しかも今までに説明したように、学習者に聞き取りやすく、馴染みのある表現を優先して使ってくれていますので、日本語に直さずに意味を思い浮かべるトレーニングをするのに丁度よいのです。
おすすめYouTubeチャンネル7選
前置きが長くなりましたが、ここで私が皆さんにお勧めしたいチャンネルを7つ紹介します。
mmmEnglish
→チャンネルURL
私の一押しで、おそらく最もスタンダードな英語学習チャンネルです。
非常に多くの動画が用意されており、このチャンネルだけで全ての文法を学習できるのではないかと思うほどです。スピードも速すぎず遅すぎず、ポーズも適度にあり、全英語学習者に自信を持ってお勧めします。
Learn English with EnglishClass101.com
→チャンネルURL
mmmEnglishより若干速く、ボリュームが多くなっています。こちらも幅広く文法や勉強法について紹介しているチャンネルです。
好みもあると思いますので、mmmEnglishとこちらを見比べて、より理解しやすい方をメインにするとよいと思います。
Rachel’s English
→チャンネルURL
発音の解説に重点をおいたチャンネルです。
口や舌の使い方を詳しく教えてくれるので非常に勉強になります。
発音の改善はリスニングの上達にも繋がりますよ。
Accurate English
→チャンネルURL
英語表現を広げるのに効果的なチャンネルです。
特にイディオムやスラングの解説に重点を置いているので、国内の書籍では得られない知識がたくさん得られます。
Go Natural English
The English Coach
linguamaria
この3つは、今までに挙げたチャンネルの英語に慣れてきたら是非挑戦してほしいチャンネルです。これらのチャンネルはどちらかというと「英語を勉強するならこうするといいよ」という内容がメインです。
スピードはナチュラルスピードに近く、リエゾンも多用されています。wanna、gonnaなども容赦なく使われています。
ポーズもほとんどなく、15分間ひたすら喋りまくっている動画が多数あります。
彼女たちの英語が聞き取れるようになると、ニュースやドラマでも「あ、今のセリフ聞き取れた!」という経験が増えていくことでしょう。
その他にも様々なチャンネルがありますので、もっと見たいという人は「English lesson」「English grammar」等のキーワードで検索して見てください。
きっとお気に入りのチャンネルが見つかるはずです。
おすすめYouTube視聴方法1. 暇な時間に何となく見る
これらのネイティブ講師の英語学習チャンネルですが、私のお勧めは暇な時間に何となく見ることです。
ダラダラと暇つぶしにYouTubeを見ている時間の、最低でも半分を英語学習チャンネルの視聴に充ててください。わからないところがあっても、聞き取れない部分があっても気にしなくて構いません。
講師が言いたいことが大体わかれば合格、普段の勉強にプラス10分、15分、30分できれば大成功です。
英語の勉強は2本立てでいくと成功しやすいです。
1つは単語を調べたり構文を分析しないと理解できないような文章を読む練習・聞く練習をしたり、英検やTOEICなどの問題を解いたりすることです。
いわば知識を増やしていく勉強です。
もう1つはゆっくり考えれば理解できる程度の文章を速く読む練習をしたり、スクリプトを見れば意味がわかる程度の英文のリスニングのトレーニングをしたりすることです。
言い換えると、より速く正確にできるようにする練習です。
英語の勉強というと前者の「知識を増やす」勉強を思い浮かべる人が圧倒的に多いと思いますが、英語で英語を理解するには後者の「より速く正確に」が必要不可欠です。
それには自分のギリギリ理解できるレベルか、それよりも少し易しい英語を聞きまくってください。
まずはチャンネル登録&高評価で、お勧め動画に英語学習チャンネルが常に表示されるようにしましょう。
そして「このレベルは簡単すぎてもう得るものはない」と思えるレベルに達するまで、毎日欠かさずに英語学習チャンネルを見るようにしてください。
隙間時間でも構いません。
それだけで英語への順応度が大きく変わってくるはずです。
おすすめYouTube視聴方法2. BGMとして聞き流す
もう1つのお勧め視聴方法は、何かの作業をしながら聞き流すことです。家事をしながら、作業をしながら、本を読みながらBGM代わりに流しておきましょう。
聞き流しは「勉強しているつもりになっているだけ」と批判されますが、やり方次第です。
確かに真剣に視聴しても理解できないようなドラマやニュースを聞き流しても、何を言っているかほとんどわからないでしょう。
歌詞や発音を確認せずにいくら洋楽を聞いても、空耳ソングしか歌えるようになりません。
脳は無意味な音を聞くとただのノイズだと認識しますので、意味がわからない英文をいくら聞いても意味がわかるようにはなりません。
どのような意味なのか、どのようなときに使う表現なのかがわからなければ、聞き流しの効果は望めないのです。シャドーイングやディクテーションができる教材を選んでください。
一方で簡単すぎる音源も役に立ちません。
既に100%理解できている内容を何度聞いたところで、100%を超えることはありません。
たとえば、This is a pen. This is a cat. This is a hat. …と延々とThis is ~しか出てこないCDを聞いたところで、This isの発音が上手になるくらいで、それ以外の英語が話せるようにはなりません。
聞き流しに適しているのは、自分のギリギリ理解できるレベルよりも少し易しい英語です。
このレベルであれば何か別の作業をしながらでも、聞こえてきた英語の意味を理解することができます。
そして英語を聞く機会を増やすことで、理解するのに少し時間がかかる英語から一瞬で理解できる英語へとレベルアップさせることができるのです。
また、英語学習チャンネルは1~2分で話題が次々と変わっていきますので、別のことに気をとられて全く聞いていなかったとしても話の途中から内容を理解することができます。
これがドラマやニュースになると何の話かわからなくなって最初から聞き直さなくてはならないことがありますので、その点でも英語学習チャンネルが聞き流しには適しているのです。
英語を聞く時間をYouTubeで増やそう
今回はYouTubeのネイティブ講師による英語学習チャンネルを活用するメリットについて説明しました。
英語の習熟度は英語に触れた時間に比例します。
是非皆さんもこれらのチャンネルを活用して、英語に浸かる時間を増やしてもらえたらと思います。