私は日本からロサンゼルスに留学している社会人留学生です。約一年前にF1学生ビザが届き、昨年夏に無事にアメリカに入国して、もうすぐ春学期を終えるところです。
今回は私が次の秋から挑戦するOPTについてご紹介します。
私がOPTを申請するワケ
私は既に日本で社会人経験があるため、アメリカで知見、経験を拡げるために最初に考えたことはワーキングビザの取得でした。
しかし、留学経験もなく日本で外資系企業に勤めている訳でもない、アメリカに何のコネクションもない私がいきなりワーキングビザを取得することはハードルが高すぎたため、最短で、できる限り安価で学生として留学し、資格や学位を取得した上でアメリカで働くという手順を取ることにしました。
そのため私の留学目的は、いち早く「合法に働ける立場になる」ことでした。日本人が一般的にイメージするアメリカ留学は「大学」への留学だと思いますが、私はできるだけ安く済ませるために「コミュニティカレッジ」に入学しました。
通常、コミュニティカレッジの留学生は最低2年間学生生活を続け、その単位や修了証を元に、大学へ編入したり企業に就職したりします。
私も最低2年は学生を続けなくてはいけないと腹を括っていましたが、何度もアカデミックカウンセラー(専攻や単位などのアカデミックな内容の相談にのってくれるカウンセラー)とミーティングを重ねた結果、私の希望する分野で1年以内に修了証がもらえるコースを専攻できるということが分かり、そちらを専攻しました。
修了証がもらえたら、次は一年間の期間限定で合法的に働けるOPTに申請できるので、そもそもアメリカで働くことが第一目標で留学した私にとっては、とても重要な第一ステップになります。
そもそもOPTとは?
OPTとは、Optional Practical Training の略で、留学生が何らかの専攻を卒業もしくは修了した後、その専攻分野の職種で、数ヶ月間〜1年間、合法的に働くことができる権利がもらえる機会です。
いわば「学生ビザとワーキングビザの中間のような立場」です。私の場合、入学後1年以内に修了証がもらえるコースを専攻したため、このコースを無事に修了すればOPTに申請が可能になるという訳です。
ちなみに、アメリカでは留学生は働くことを許されていません。
最初の学期に学校から指定された点数以上の成績を収めることができれば、次の学期からキャンパス内で週に20時間以内に限りアルバイトをすることは可能ですが、実際なかなか募集がかからず、また応募しても留学生よりも一般の学生が優先される、語学力が確実に求められるなど、条件面で留学生にとても不利で、あまり期待できないことが分かりました。
申請の流れ
ここからもう少し詳しくOPTについてご紹介します。(各学校や時期によってルールは変動するかもしれませんので、ご紹介内容は参考までに、実際に申請する際には必ず学校に事前に確認をしてください。)
留学生は卒業予定日の90日前からアメリカ合衆国のU.S. Citizenship and Immigration Services(USCIS)にOPTの申請をすることができます。通常、春学期と秋学期は4ヶ月間ほどあるので、卒業(もしくは修了)予定の最終学期が始まって1ヶ月後くらいから申請手続きを始めるというスケジュール感です。
申請には期限があり、最終学期の終了日から60日以内に済ませる必要があります。
6月初めに春学期が終わる場合、8月初めまでに申請を済ませるという流れです。
ただしその前に、学校にも「私はOPTの申請をする」という届出を出す必要があり、私の学校では春学期が始まってすぐの3月半ばに、学校への届出締切日が設定されていたため、そちらを逃してしまうと、次の学期終了まで申請ができなくなります。
そのため、OPT申請を考えたら、まず初めにすることは、学校にOPTを申請したい旨を届け出て、卒業や修了のための申請をすることです。
留学に関係する手続きは、のんびりと構えていると期限切れで取り返しのつかないことになる場合もありますので、事前に正確なスケジュールとルールを学校に詳しく確認しておくことをお勧めします。
さて、申請に際しては「Form G-1145」「FormI-765」「パスポートのコピー」「 I-94」「アメリカパスポートサイズの顔写真」「 OPT I-20」「申請手数料 520ドル(郵送)470ドル(オンライン申請)」が必要になります。
「Form G-1145」と「FormI-765」には、オンライン上でアカウントを作り、具体的にOPTに申請するために必要な個人情報を入力していきます。
アメリカの入国記録である「I-94」は、いつアメリカにどこから入国したかなど、毎回入国する際に自動的にデータが蓄積されているもので、OPT申請に際しては自分の最新のデータをオンライン上で入手しておく必要があります。
「パスポートのコピー」の他に、日本パスポートに使われている写真とは違う「アメリカパスポートサイズの顔写真」も提出する必要があります。
日本のようなセルフサービスの証明写真機はこちらではあまり見かけませんが、もし手元に条件に合う顔写真がない場合は、近くの薬局や郵便局などで15ドル〜20ドル前後でパスポート用の写真撮影サービスがあるのでそちらを使い申請できます。
最近まで「申請手数料」は410ドルでしたが、4月の時点で値上がりしていました。
郵送申請が520ドルでオンライン申請が470ドル、オンライン申請の方が50ドル安くなります。手数料を支払い、全てが揃ったら学校の留学生支援課で「OPT I-20」を発行してもらい、そちらを併せてアメリカに提出することで申請手続きが一段落します。
ちなみに、「OPT I-20」を発行してもらうためには、学費を全て支払い済みにする必要があります。もし学費を月払いに設定している場合は、その支払いが全て済んでからしか、OPTを申請することができません。
申請後の流れ
無事に申請が済むと、そこからは3ヶ月〜5ヶ月間ただ待つ時期に入ります。2ヶ月程度で申請許可が降りる場合も、5ヶ月かかる場合もあるそうで、その期間はできるだけ住所を変えないようにすることも大切だということです。
許可が降りるとその旨が記載された書類と共に、「EAD card」と「Social Security Card」が郵送で送られてきます。アメリカでは郵便物が無事に届かないことも多いため、確実に受け取れる可能性の高い住所で申請することも重要です。
自分の住んでいる住所で郵便物がよく紛失する場合は、許可証の郵送先を他の知人や親戚などの住所に設定することが可能です。
晴れてこれらの書類が届いてから初めて、合法的に働くことが許されます。許可がいつ降りたかに関わらず、OPTの期限は卒業した最終学期の最終日から、通常、一年間で終了します。
そのため、より早く申請した方が早く働き始めることができ、結果的に与えられたOPT期間を最大限に活用して働くことができるということになります。
OPTの期限が切れたら60日間だけ猶予が与えられ、その間にまた学生に戻るか、別の大学に編入するか、日本に帰国するかを決める必要があります。
もしこの期限までにアメリカで次の就職先に内定していて、その企業からワーキングビザを出してもらえる場合は、学生ビザからワーキングビザに変更してアメリカに残ることができます。
尚、OPTの許可が降りてからは週に20時間以上、自分の専攻した分野で働きそのレポートを学校に出す必要があります。「専攻した分野で」と記載しましたが、OPTで働ける先は卒業もしくは修了した専攻分野に関連した職種である必要があります。
例えば、栄養学を専攻した人がレストランで働くことができますが、自動車整備を専攻した人がレストランで働くのは、専攻分野が違うので認めてもらえない場合があります。
ただ、詳細は国に報告するのではなく学校の担当者に報告するだけで良いということなので、実際には、「何故、どういった部分で自分の専攻と就職先が関連づいているか」を具体的に説明できれば認められるそうです。
もしかしたら、フードトラックなどでの飲食業や、車でのデリバリーサービスのあるレストランなどであれば、自動車整備を学んだ学生でも専門分野と飲食業を関連づけて説明して働くことが可能なのかもしれません。詳しくは、実際に学校の担当者と相談をしながら進めていく必要があります。
OPT期間中に、累計90日間以上働かないでいることはできません。
万が一自分の専攻分野でなかなか就職先が見つからない場合は、無給のインターンシップやボランティア活動、自営業(例えば写真を専攻した人は、自分で作品撮影をするなど)の活動も実働時間としてカウントして、報告するようにアドバイスをもらいました。
ところで実のところ、私はまだ申請が済んでいません。この春学期が始まってから円安が衝撃的な速さで進み、一時は1ドル160円を超えたため、もう少し円高になるのを待とうと、うかうかしているうちに日本円預金をドルに換金する機会を失ってしまったことが原因です。
授業料の支払いが済んでいないとOPTの申請を完了することができないので、少しでも為替のレートが良いタイミングをみて授業料を支払い、今月中に申請手続きを済ませるつもりです。
もしこれからOPTを取得することを検討されている場合、私のような羽目にならないように、レートの良い時期に大きな金額でドルを預金しておくことを強くお勧めします。
まとめ
今回は、留学後の第一ステップとしてOPTの申請についてご紹介しました。
合法に働くことが認められていない留学生にとって、物価が日々上昇している今のロサンゼルスで生活を続けることはとても厳しいのが現状です。
OPTの許可が降りたからといってすぐに就職先が決まる訳ではありませんが、是非この機会にアメリカで働く経験を積み、更なるステージへ進んでいかれるよう、これからも諦めずに前向きにチャレンジしていきたいと思います。